むのきらんBlog

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自由に考えよう

ロボット化でなくなるのは仕事ではない


この種の議論でまず押さえておくべきことは、「仕事」と「作業」の分離です。 過去100年の間に、どれだけの「作業」が、機械に置き換わってきたかを想像するといいでしょう。農業、工場労働、運送、販売などなどです。知的な営為でも「検索」といった作業はグーグルがやってくれることを、私たちは自然に受け止めています。

 

 駅の自動改札によって「改札でハサミを入れる作業」はほぼなくなりましたが「駅員の仕事」は今もあります。作業内容が変わったのです。

 

 したがって、今後もたとえば「農業」はなくなりません。農業従事者も消滅しません。しかし、「作業」の多くはロボットに置き換わっていくでしょう。

 

 置き換えには、これまでと同様に、もちろんコスト面の優位性が前提です。また「単純作業」はもとより、エントリーも触れているような、知的、創造的な営為も「作業化」が可能なものは置き換わるでしょう。

 

したがって、仕事がなくなるのではなく、「作業」が置き換わることで、「仕事」が変容する、ということです。作業群として定義された「職種」で、なくなるものが出てくるのは当然ですが、それは新たな「職種」が生まれることでもあります。(両者の間に、当然にミスマッチが発生しますが。)

 

いずれにしても「現在と非連続的な未来」ではなく、「変化が加速する未来」ととらえておくのが適切です。その変化を前向きに捉えていくか、できるだけ変化に抵抗し、障壁をはりめぐらせておいて、他国や他所がやってから、と傍観するかが問われるところです。

2015年12月09日 09:28