むのきらんBlog

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サウンドオブミュージックの「トラップ男爵」は「トラップ準男爵」

 

先日、「サウンドオブミュージックのトラップ大佐はトラップ少佐」という記事を書いた。

www.munokilan.com

 

調べていて、もう一つ知ったことがある。

「トラップ男爵」は「トラップ準男爵」。

これまた、オーストリア・ハンガリー帝国を英語(米語)に訳した際に生じた誤解である。

英文サイトでも「Baron Trapp」と記されている。しかし、英文のWikipediaに面白い記述を見つけた。

Georg is referred to as "Baron" in the film, but his actual family title was "Ritter" (German for "knight"), a hereditary knighthood the equivalent of which in the UK is a baronetcy. Austrian nobility, moreover, was legally abolished in 1919 and the nobiliary particle von was proscribed after World War I, so he was legally "Georg Trapp". Both the title and the prepositional nobiliary particle von, however, continued to be widely used unofficially as a matter of courtesy.[94]

 つまり、彼はBaron(男爵)ではなく、「Ritter」でありそれはドイツ語では「Knight」という意味。英国の貴族に当てはめると、「Baronetcy」である。これは男爵以下、ナイト(騎士)以上、つまり準男爵などと訳すのが適切だ。

それを英文(米文)サイト自体が、「Baron」としているのだ。なので、史実はともかく、映画では「男爵」扱いしていても間違いではないかもしれない。

 

準男爵は貴族ではない

男爵までが貴族、それより下は「貴族」ではない。つまり厳密には「爵位」ではない「称号」なのだ。騎士階級としてとらえて、あえて明治日本の制度に当てはまれば、貴族=華族であるので、それより下なので「士族」ということ。(準男爵世襲、ナイトは一代、旧日本の士族は世襲、といった違いはもちろんあるが。なお、「准男爵」とも書くが同じ意味。)

ちなみに、オーストリア・ハンガリー帝国での貴族制は第一次大戦での敗戦を受けて1919年には廃止されている。が、それ以降も、これらの爵位、称号や名前の前に「von」(フォン)をつける習慣は、残っているとのことである。

そういえば、元貴族で貴族制廃止後も「フォン」をつけている人はいますね。ザルツブルグ生まれの著名な指揮者の「ヘルベルト・フォン・カラヤン」とか。