むのきらんBlog

むのきらんBlog

自由に考えよう

三菱自動車の失敗はサラリーマン経営者だったからか

f:id:munokilan:20170418114018j:plain

三菱自動車の不正に関して、様々な見方がある。

以下に引用したエントリーは、「サラリーマン経営者」に原因を帰結させ「プロ経営者」を求める意見だ。しかし、「プロ経営者」なら改革できたのだろうか。

blogos.com

川崎氏は、JALにおける稲盛和夫氏や日産を再生させたカルロス・ゴーン氏と、三菱自動車の相川社長や益子会長を比較し、全社をプロ経営者、後者をサラリーマン社長と整理、外部のプロ経営者を招聘して徹底的な企業風土改革をと主張する。(以下、引用文参照)
2)外部から招聘された「プロ経営者」と、「サラリーマン社長」の立場
JALにおける稲盛和夫氏や日産を再生させたカルロス・ゴーン氏などと、三菱自動車の相川社長や益子会長を比べた場合、外部から招聘された「プロ経営者」と、所謂「サラリーマン社長」であるという点で、両者の立場は全く異なります。 相川社長は三菱自動車の生え抜きですし、益子会長も三菱商事の出身です。彼らのような「サラリーマン社長」の場合、往々にして社内外の人間関係や様々なしがらみを断ち切ることが難しいため、ドラスティックな改革を行う際に、そのようなしがらみが改革の障壁になる傾向が見られます。

一方で、外部から招聘された「プロ経営者」が経営改革を主導する場合は、しがらみを持たないため、徹底した改革がやりやすい、という利点があります。今回のケースは、「サラリーマン社長」が企業風土改革を主導する際の限界を露呈したものともいえそうです。

■三菱自動車再生のための必須条件
現在三菱自動車は、ユーザーや日産自動車などから数千億円にも上る補償を求められることが予想され、企業存続が危ぶまれる重大な経営危機に陥っています。仮に今回も三菱グループの支援のもとで再生を図るという決断が為されるとしたら、企業理念軽視、コンプライアンス軽視の企業風土を一変させる必要があります。

そのためには、以下の2点が再生するためのポイントになるもの、と思います。

1)三菱自動車並びに三菱グループとしがらみをもたない、「プロ経営者」の外部からの招聘

2)「プロ経営者」が主導する、「企業理念を軸とした企業風土改革活動」の徹底
 
確かにこう見える部分はある。しかし、これは、ある意味結果論だ。
 

1.同社の経営の舵取りは誰がしてきたか。

相川氏が社長になったのは、2014年。不正が起きたのはもっと前だ。過去10年以上、同社の社長は三菱商事出身の益子氏である。会長は、重工の西岡会長が兼任した時代が長い。同社はこれに三菱東京UFJ銀行を加えた3社の管理下のもの、再生に取り組んできたのだ。
 

2.益子氏は、サラリーマン経営者か。

確かに、身分はサラリーマンだ。オーナーではない。だがその点はゴーン氏もそうだ。
益子氏は三菱商事出身であり、プロ経営者として登板した。いわば、資本提携の結果ルノーから日産に降臨したゴーン氏と同じ立場だ。
同氏は、商品の絞り込み、生産販売の大胆な新興国シフト、国内販売の整理縮小、米国、オランダ、豪州の工場の閉鎖など、大胆な手を打ってきた。内部にしがらみのない経営者であることからこそできたことだ。
 

3.「プロ経営者」は不祥事を起こさないか。

そんなことはない。リーマンショックなど、各種の不祥事は、「プロ経営者」が起こしていることも多い。
確かに、サラリーマン経営者は社内のしがらみにとらわれがちだ。しかし、問題は内部か外部かではない。いかに適任者を経営者にあて、大株主や社員など内外のステークホルダーがそれを支えるかである。
 

4.経営陣は企業風土改革に不熱心だったのか。

同社は、新体制のもと、教科書どおりの企業風土改革に取り組んできた。CSR推進本部や外部有識者による企業倫理委員会を設置したり、種々取り組んできた。
だが、それでも不正は起きた。したがって、企業風土改革が不足であったという批判は免れ得ない。
結果論ではあるが、益子氏など経営陣が企業風土改革への取り組みが足りなかったという批判は、受けざるを得ないだろう。
 
教科書通りやっても、それでも不正は起こる。そこに難しさがあるのだ。
 
関連エントリー