むのきらんBlog

むのきらんBlog

自由に考えよう

蓮舫氏の二重国籍問題~国籍選択をしたのか~

f:id:munokilan:20170409144453j:plain

民進党代表となった蓮舫氏の二重国籍をめぐる問題、本当にわかりにくいですね。極力シンプルに整理します。

 

 

わかっていること、いないこと

わかっていること:

・17歳の時に、国籍取得の手続きをしたこと。(蓮舫氏が日本国籍を持っていることは証明されており、間違いない)

・台湾籍が残っていること。

 

わかっていないこと:

「日本国籍選択の届出&外国籍放棄の宣言」をしているかどうか。

 

私も2本のエントリーを書きましたが、一本目は、「している」という前提での論旨。二本目は、「していない(みたい)」という前提での論旨です。

 

ところが、ここがいまだに不明なのです。

蓮舫氏の最新の発言(フェイスブックなど)では、きわめて不明確。過去の発言から、1985年に国籍選択をした、という前提で議論している方もいますが、蓮舫氏の過去の発言自体がぶれているので、どちらとも言えない、というのが客観的なところです。(国籍選択は法務局ではなく市町村に届出るのですが、蓮舫氏は父と法務局に行ったと言っているわけ。そのあと、母と市町村に選択を届出たのかもしれませんが。)

 

2つのケースの違い

ケース1:法務局に国籍取得の届出をしていて、市町村に国籍選択の届出をしている場合。

これは、エントリー1のとおり、台湾籍の放棄の努力をした証拠がない、という問題です。とはいえ、ほぼ合法状態と言っていいでしょう。本人は「努力したつもり」と言っているわけだし、現在は、努力をしていることは間違いないので。 

 

ケース2:法務局に国籍取得の届出をしていて、市町村に国籍選択の届出をしていない場合。

これは、エントリー2のとおり、明確な国籍法違反です。国籍選択は努力義務ではなく、「しなければならない」規定だからです。

また、場合によっては戸籍法違反となります。ただし、戸籍法違反となるのは、外国籍を離脱していて、その旨を市町村に届けなかった場合です。蓮舫氏の場合は、外国籍離脱の証明が台湾当局からとれていない以上、戸籍法違反とはなりません。

2016.9.18上記を訂正

国籍選択の届出をしていない(かつ外国籍を離脱した旨の届出をしていない)のは、戸籍法違反にもなるでしょう。一読者さんのコメントで気が付きましたので訂正しました。

2016.9.19上記を再訂正

戸籍法について、一読者さんからのコメントが妥当と思われますので、元の文に戻しました。

 

なお、一定の場合「国籍選択をしたものとみなされる」規定もありますが、蓮舫氏の場合は対象外です。 

法務省:国籍Q&A

法務省:国籍選択について

 

蓮舫氏は戸籍謄本を開示すべき 

ややこしい理由の一つは、蓮舫氏の発言があいまいなこと。国籍に「取得」、「放棄」、などの言葉が適当に使われています。17歳の時の話自体は、30年前のことなので、記憶がはっきりしないのは、仕方がありません。

しかし、それでも「こうしたと思う」とはっきり言うべきでしょう。「こうしたかもしれないし、こうかもしれない」、両方ありえる、というのでもいいのです。

そして、国籍選択の届出をした場合、戸籍謄本に記載されますので、そこは現在確認したらこうでした、と言うべき。それが政治家としての説明責任です。(なお、戸籍謄本の開示の仕方自体は、いろいろあります。少なくとも、該当部分を第三者に確認してもらうことは妥当です。)

 

 足立康史氏のエントリーは妥当だが残念

blogos.com

法的には足立氏の主張はほぼ適切です。ただし、「民進党は、直ちに蓮舫氏本人の戸籍謄本を確認し、彼女が外国人なのか嘘つきなのか、明らかにすべきである。」というのは、ちょっと言い過ぎです。

蓮舫氏は、外国国籍も持っていることは間違いなく、日本の法律上「外国人でもある可能性がある」のであって、「外国人」(つまり日本人ではないというニュアンス)ということではありません。

この「外国人」という表現について、足立氏の脳内では、「蓮舫氏は台湾籍を意図的に持っているので、日本の法律に基づき蓮舫氏の日本国籍をはく奪すべき」という論理も見えます。足立氏は、日本の現行法と同じく、「二重国籍は認めない、日本人か外国人かの二択である」という発想でしょう。

 

また、「嘘つき」というのも言い過ぎ。人は誰でも、その時々で発言がぶれることはあります。まして17歳の時の行為です。説明責任が不十分である、という批判にとどめておくのがフェアでしょう。

その点では、足立議員もまた、人にレッテルを貼りたがるという、民進党や共産党と同じポピュリズムの罠にはまってしまっています。

 

論点を分けて考えよう

いずれにしても、エントリー1で書きましたとおり、「論点を分けて考えよう」ということが、改めて大切と思わせられた一件でした。それができているかどうか、という見方で、いろんな人の主張をチェックしてみるのもいいですね。

 

 

なお、蓮舫氏の最近の主張は、前のエントリーで上げた蓮舫氏のフェイスブック以外では、こちら。

国籍放棄問題の渦中にある蓮舫氏、単独インタビュー - Yahoo!ニュース

www.buzzfeed.com

 

 

ところで、本件に関連して、こちらのエントリーはおすすめです。(国籍問題の法的議論ではなく、民進党についてのエントリーです。)

blogos.com