むのきらんBlog

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自由に考えよう

首相は戦闘服の夢を見るか

IS(自称「イスラム国」)のパイロット殺害に対するヨルダンの報復攻撃が行われている。テレビに映し出されたのは、戦闘服姿で国軍司令官に指示するアブドラ国王の姿だった。普段はスーツ姿で登場するアブドラ国王の戦闘服は、ヨルダンの本気度を内外に示すのに効果的だった。

アブドラ国王は、空軍パイロット出身だ。それもあって、戦闘服姿は実に板に付いたものだった。

 

★★★

 

さて、日本ではどうだろうか。自衛隊の最高指揮官(最高指揮監督権者)は内閣総理大臣だ。有事の際に、安倍首相が戦闘服を着ることはあるだろうか。

 

日本では現役の自衛官が首相になることはありえない。憲法に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と明記されているからだ。ただし退職自衛官が首相になることはありえる。現に中谷防衛大臣は退職自衛官だ。

中谷大臣は、実際に迷彩服を着てパラシュート訓練を体験して報道陣に公開している。退職自衛官だから迷彩服を着たということではないだろう。

  

東日本大震災などの災害時には、首相以下、災害対策本部用の作業服に着替えている。したがって、万一有事が発生する場合、首相は戦闘服(らしい服)を着てメディアに登場する可能性もあるだろう。

 

★★★


有事の際の官邸の対応規定には、服装も含まれていることが想定される。したがってもし民主党政権であっても、規定に従うのが基本だろう。戦闘服は軍服の一種だが、首相など文官が着用する場合は、軍服に似た服を着用した文官、というわかりにくい状況になるだろう。階級章はなしで「内閣総理大臣」というラベルを貼ったものが用意されているだろう。ちなみに余談だが、内閣総理大臣自衛隊旗というのがあり、五つの桜のマークだ。


ただ、実際の対応は、首相の政治判断によることになるのではないだろうか。
そのとき、安倍首相は戦闘服を着て国民の前に出るだろうか。私は「着る」のではないかと思う。それは、「強い日本」の「強いリーダー」としての首相のセルフイメージにぴったりくる。まさに戦闘服の出番、自衛隊士気を上げ、国民を一丸にまとめるためにはこれ、と考えるだろう。


国会では首相としてスーツ姿、自衛隊の最高指揮監督権者としては戦闘服姿、ということになるのではないだろうか。

 

★★★

 

誤解のないように付言すると、安倍首相は決して有事を望んでもいないし、戦争をしたいわけではない。(積極的)平和主義は、安倍首相の本心だろう。もちろん、首相が戦闘服を着ることを、真剣に考えるような事態にならないことが大切なのだ。

そのためにはどうしたらいいか。それが重い問いとして私たちに問われている。