むのきらんBlog

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金銭解雇ルールは、社員と会社の対立ではない


金銭解雇ルールの法制化は私も賛成。図の整理も明解である。 しかし、筆者のエントリーは賛同しがたい。無駄に2項対立化させて、「敵」を作っているのではないだろうか。本件は2項対立命題ではない。

 

 筆者が書いている例は、不法行為に近いものも含まれる。退職させるために行う配置転換や業務命令は不法行為、という大原則をきちんと踏まえておくべきだ。退職に追い込むために、あきらかに無駄な作業をさせるのは不法だ。

 

ただし、たとえば「草むしり」は「穴掘って埋める」こととは違う。清掃作業員や園芸関係者、OA機器メンテナンス、事務用品サプライヤーの皆様に非常に失礼な表現は残念だ。 会社のリストラクチャリングで、畑違いの分野に突然異動になることは、ある。重要なのは、業務指示や異動の目的の合理性や内容の適切性なのだ。

 

解雇が困難であるために、しかたがないので、会社があの手この手で工夫をすることはある。しかしそれは、断じて不法行為であってはならない。

 

解雇が困難なことは、一見労働者にとっていいように見えるが、必ずしもそうではない、企業も労働者も、「見えないコスト」を分け合っている、という認識が重要なのだ。その影響は長時間労働や新卒一括採用、といったことにも及んでいる、というのが経済学者のコンセンサスだ。2項対立ではない、という認識が重要だ。

 

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なお、正確にいえば、今法案化されているのは、金銭解雇ルールの法制化というよりは、「解雇にまつわるトラブルの金銭解決の法制化」です。

 

「誰でもお金を出せば簡単に辞めさせられる」というものではない。これが不明確なので、解雇が困難であったり、訴訟が頻発したりするわけ。ルールとして法律に書いていないので、和解でやりとりすることが多く、弁護士の稼ぎどころとなってしまっている。 そのあたりも、世間で誤解や曲解が多いようです。