むのきらんBlog

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自由に考えよう

TPPで食の安全はどうなるか。食品表示をめぐる今もそこにある問題。

・TPPと食の安全は、ほぼ無関係。

・「輸入が増えるから安全が心配」論は勘違い。

・既に安全でないならば、それを問題にすべき。

・今も食品表示には問題がある。

 

 

TPPと食の安全は、ぼ無関係だ。この種のよくあるTPP反対の論調でも、TPPの内容が明らかになってきて、それを認めている。食の安全面でのTPP反対派の最大の主張は、食品の表示義務が変更されることだった。しかし食品の表示義務は変更されない、ということだから、その論拠はほぼなくなるわけだ。

 

●「輸入が増えるから安全が心配」論は勘違い。

そうすると今度は「輸入食品の増加が見込まれるから、心配だ。」という主張が残る。これは現状と50歩100歩の議論で余り意味がない。

 

TPPが発効しても、これまで輸入ゼロだったものの輸入解禁はないのだ。単に関税引き下げで数量が増えるだけだ。しかもそれも一気に、ではなく何年もかけて徐々にという品目がほとんどだ。 ということは、TPPと食の安全はほぼ無関係といっていいわけですね。

 

もし問題があるならば、現在の食品表示や輸入品の安全性をきちんと検証すればいいわけだ。それはTPPとは関係ない。

 

●今も問題ある食品表示

ところで私は、食品表示には問題ありと考えている。たとえば原産地や製造者ではなく販売者だけでいいというルール。輸入食品を国内で加工した場合、原産地表示は不要だ。良心的な業者は、原産地表示をしているが、土産物などは原産地表示を避けているものが多い。

 

原料が複雑な商品なら書き切れないことはあるだろうが、干物など主材料が明確な商品は、原産地などを表示させるべきだろう。(表示していないものは、地元産ではないと思ったほうがいいかもしれない。)

 

ちなみに「なになに産のこれこれ使用」というのも、100%それを使ってないと表示できないわけではない。もしも混じりっけなしの100%ならば、そのように表示する。

 

●産地や養殖か天然かは、安全性とイコールではない

但し、産地や養殖か天然かは、本来は安全性とはイコールではない。「地元産なら安心」というのはある種の幻想だ。どこの産物だろうが、誰が加工しようが、基本的には日本の食品安全のルールは同一だ。過去明らかになったように、国内でも虚偽表示を行う業者はある。(ただし海外の業者のほうが、発覚した場合のダメージは一般に低いということは言えるだろう。)

 

食品表示は実は、安全ではなく安心を提供しているのだ。アレルギー等については組成表示は重要だが、どこ産のものでも不安全なものは売ってはいけない、というルールだ。ここは誤解される部分だ。もちろん安心感も重要だし、業者表示は責任の明示という意味で重要だ。

 

そして消費者には、自分の価値観で選択する自由はある。たとえば、「中国産食品を

買わない」というのは消費者の自由だ。ただし、前述のとおり中国産食品は、すでにあらゆるところで入っているので、摂取ゼロはありえない。とはいえ、「中国産食品を選ばない」という選択はありだ。と、いうことで、ややこしいが、「安心」に価値を見いだしお金を払うのは、当然に消費者の自由なのだ。「安心」よりも、「安全」をより客観的に考えたほうが、お金も精神衛生上もお得ですよ、と思うが。

 

●ややこしいが一理ある表示方法

なお、加工食品のうち、「生鮮食品に近い加工食品」には、原料の原産地(最低限、国産か原産国)の表示が義務づけられています。たとえば干物は加工食品ですが、「生鮮食品に近い」ということで、原産地表示義務が最低限があります。表示については、業者と消費者の両方の主張を踏まえて、非常に細かいルールがあるわけ。

 

私の主張は、そうでない一般の「加工食品」です。 本件は、以下が詳しくわかりやすいです。

静岡県の加工食品表示について

高知県の水産加工食品表示マニュアル。 

 

●製造者表示と販売者表示

ちなみにこちらも、どちらかでいい、ということになっている。消費者に対する苦情等の対応の窓口や責任を明確にする、という主旨だ。

ただし、これも、業者が営業上の都合で、使っているという側面があるので要注意だ。

つまり、もちろん両方表示してもいいのに、片方だけしか表示していない場合は、もう片方は、販売上あまり好ましくない、と業者が判断している可能性がある。たとえば土産物で、販売者が地元でそれだけの表示の場合、「原産地や加工者は地元でない可能性が高い」と推定することは合理的だ。業者の立場になって考えてみるとよいのだ。

 

なので私は、消費者窓口を明記するのは当然として、基本的には、原産地、原産者、加工者、販売者を極力表示させるルールが望ましいと考えている。複雑な流通で、それらがわからなくなっているものは、「わからない」と表示すればよいのだ。それがフェアというものではないだろうか。

 

ここは、いわゆるトレーサビリティの議論なのだが、それには当然コストはかかる。そのコストは消費者が負担する。負担したくない消費者は、「わからない」表示のものを選べばいい、ということ。

 

つまり、現在の「表示しなくてもいい」というルールではなく、「わからない」「表示したくない」ならば、はっきりそのように明記させるルールが望ましい、と思う。 

 

TPPを敵視する前に、まず現在の食品表示や食のあり方をきちんと見つめて、問題があれば問題として提起することが大切だ。