むのきらんBlog

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自由に考えよう

インターンに名刺整理をさせる社長はブラックか

ライフネット生命社長の岩瀬氏がインターンに名刺入力作業をさせたら、学生が辞めたことをブログに書いた。それが炎上した。

岩瀬氏と学生、どちらに軍配を挙げるべきか。

 

 

●ミスマッチ

これは、どちらに非がある、ではない。山ほどあるミスマッチ事例に過ぎない。

 

●岩瀬氏の視点

岩瀬氏が学生を叩いたのは、自社のポリシーを伝えるためだ。じゃなかったら、書かない。ここから察せられる同社のポリシーは、「自分で課題を見つけられる人と仕事がしたい」ということだ。インターンシップさせてね、と食い下がってきたにもかかわらず、課題が見つけられなかった。それを岩瀬氏のせいにした。

 

●学生の現実

一方、学生のほとんどは、昔も今も、かつての私も含めてそんなもんじゃない。「丁寧に意味を教えてもらって当たり前」というパラダイムで生きてきたのだ。だから「意味を教えてくれないほうが悪い」ということになる。自ら意味を考える学生は一握りだ。

 

「自ら意味を考えよう」とさえ思えば、ヒントは山ほどある。岩瀬氏の本や発信物を読むだけでも、同社がどういう考え方をしているかが分かるはずだ。そこで岩瀬氏が自分になぜ単純作業を与えたのかを、自分で発見すればいいのだ。岩瀬氏さえ意識していない、気がつかないような発見も含めて。

 

「エクセルで入力」という作業を与えられたとしても、スマホで撮ってデータに変換する方法だってあるわけだし。あえて手で入力する意味があるかないか、ということも一つの問いだろう。

 

●「丁寧に説明する」のはいいことか

丁寧に意味を説明した上でちゃんと仕事をした学生を採用したとする。すると、その学生は、常に意味の説明を要求することになる。そういう学生を採用したいかどうか、ということだ。

 

●教育で教えるべきことは

これは「大学」の問題ともかかわる。本来の大学は「自分で学ぶ場」だったが、以前からそれは崩壊している。すえに崩壊した学生が直面するのが社会とのギャップなのだ。 多数の平均的な学生を採用して戦力にしなければならない多くの企業は、岩瀬氏のマネはしないほうがいいかもしれない。 学生に「大きな格差」があるとしたら、こんな考え方の格差ではないだろうか。

 

ところで、こちらのエントリーは素晴らしい。

 

マーケティング的視点、とはこういうもの、というお手本になるような分析。 マーケティングとは顧客と価値の発見と創造であり、問題解決である。

 

1.ある会社に入社したいとする、ならば、その会社へのマーケティングが必要となる。「社長」の行動や関心事項はそのための重要な情報。社長が合否を決める会社の場合は、なおさらのこと。

 

2.意識高い系の学生への分析も優れている。何が目的で、何が手段なのか、ということが常に問われるわけ。

 

3.ところで、岩瀬社長のコメントがマーケットにもたらす影響はどうか。

同社の採用活動にとっては吉。求める人材像が明確化され、そう思う一握りの学生のみが採用市場となり、採用活動が効率化される。

 

4.一方、同社の営業活動にとってはどうか。学生層をはじめ、社会人でもかなり反発が強い。本件で、ややブラックイメージがついたのではないか。 しかし同社の営業ターゲットは「上澄み層」。なので、当面の営業にプラスにはならないが、マイナスともいえないのかもしれない。ただし、それが同社の成長への足かせという面もあるだろう。従来生保が大衆相手、同社が上澄み層相手、という棲み分けが固定してしまうので。

 

5.営業面では、これらのプラスマイナスはあるだろう。しかし、「顧客を選ぶ」こともマーケティングの基本。わが社はこう考える、ということを世に問うことが企業の存在意義だ。企業理念の重要性はそこにある。その点で、岩瀬社長の発信を評価したい。