エントリーの「老台独」と「天然独」は面白い。
さて、日本はどうすべきか。
- 1.まずは理解
- 2.歴史問題を想起させる表現は控える
- 3.韓国をあきらめるべきか
- 4.EU的なアジアを目指せ
- 5.経済連携の深化だけでは戦争は止められない
- 6.とはいえ「ナショナリズム」を超えねばならない
1.まずは理解
まずは台湾や韓国の抱えている状況を、日本は深く理解し共有することが重要です。彼らの問題は、非常に大きくいえば、明日の日本の問題でもあるわけですし。
その上で、具体的にはTPPです。現政権も蔡英文氏もともにTPP加盟に意欲を示しています。その流れを、歓迎するということでしょう。
2.歴史問題を想起させる表現は控える
「併合」などのコメントもありましたが、意図していないにしても、こういう発想や表現はマイナスでしょう。(大陸はもとより、台湾の人にも、受け入れられるものではありません。) 頭の体操自体はいいことですが、日本は、妙な中国対日本の対立構造を招かないようにすることが重要です。
3.韓国をあきらめるべきか
朝鮮半島を生命線、絶対死守ラインとすることをあきらめて「アチソンライン」で、というコメントもありますが、それも極端です。 歴史的には、「アチソンライン演説」は大失敗であったと考えます。オバマの「米国は世界の警察官ではない」のと同様に。 現実にも韓国は、日米と手を切ったのではありません。最近の動きは、むしろ中国傾斜への揺り戻しです。そして、もし仮に韓国が、完全に中国側になったとして、日本はどうなるでしょうか。今の韓国と同じジレンマに立たされるわけです。
4.EU的なアジアを目指せ
むしろ、アジアをめぐる大きな絵としては、EU的な、つまり超国家的方向性が望ましいと考えております。ASEANは、ゆっくりではありますが、今回のASEAN経済共同体(AEC)など、ステップを刻んでいます。 「東アジア共同体」という構想もかつてありましたが、現実的なのは、対立の大きい(狭義の)東アジアでどうこう、という目立つ構想を掲げることではないでしょう。グローバル化している今日、ASEANを含むアジアの東半分、というような広義の東アジアでの連携を進めるべきです。(そうしていくと、答えはほぼTPPとなるわけ)。
5.経済連携の深化だけでは戦争は止められない
ただし、経済的な結びつきは、戦争を防止できる十分条件にはなりません。安全保障問題については、経済的な紐帯が提供するソフトパワーだけでなく、冷徹なハードパワーの両面で担保せねばなりません。
6.とはいえ「ナショナリズム」を超えねばならない
中国などの「国家主義」に対するのは「国家主義」であるべきではありません。それはどっちもどっち、という相対主義になり、中国の思うつぼです。 「問題は、問題の次元では解決しえない」という有名な定理は、国際社会を巡る諸問題にも、適用されるのです。
(注記:ここでいう「ナショナリズム」「国家主義」とは政治学上の厳密な意味ではない。「国家にこだわる」思考スタイルという意味。現実には国家は大きな存在だが、考え方として国家のみを単位に考えるのは固定的思考だ、ということ)