前に出した確定申告、だいぶ後になって間違いに気がつくこと、ありますよね。
また、ちょっとマニアックですけど、「特定の資産の買い換え特例」の利用を前提に確定申告をしたけど、結局買い換えなかったというようなケースもあります。
確定申告って所得税などの国税だけじゃなくて、住民税や社会保険にも影響があるので、けっこうややこしくて注意が必要です。
そういった場合の留意点をまとめます。
国税庁のサイトや税理士サイトでも余り明確に触れられていない点です。特に、個人事業などをしている方は、参考にしてくださいね。
以下は、個人で事業や不動産賃貸などをしていて、消費税の簡易課税事業者の人が、収入を過小に申告していたことに後で気づいたケースについて記載します。
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所得税の修正申告をする
修正申告も国税庁の確定申告コーナーのサイトで作成できる。
なお、不動産の譲渡などの場合は、2016年2月現在、同サイトでは作成できない。
以下リンクでは、個人と法人に分けて修正申告の基本を解説してくれている。
修正申告・更正の請求 - はじめての税金 - 税務コンテンツ │ 関東信越税理士会浦和支部
ちなみに、e-Taxでも修正申告はできます。詳しくは、今からでも間に合うe-Tax~使ってみた。確定申告が楽になる。~ - むのきらんBlogを読んでください。
e-Taxだと、簡単。しかも、ネットバンキングをしている場合は、そこから納税もできます。これは大きなメリットです。
なぜなら、修正申告の納税期限は、「修正申告した日」だからです。
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消費税も修正申告する
課税事業者であれば、所得税の修正申告をする場合は、消費税の金額も変ってくる。
要注意なのは、収入を過小に申告して修正する場合、増えた収入には消費税分があるはず、ということ(住宅の家賃など非課税の収入は別だが)。そして、その納税すべき消費税は、該当の年の必要経費にできるのだ。つまり(1)収入を再計算、(2)消費税を再計算、(3)消費税分を必要経費に入れて所得を再計算し所得税を割り出す、という手順が必要だ。
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国税を納税する
修正申告分の納税の期限は、「修正申告の日」である。少額ならば、修正申告をする際に、税務署の窓口に現金で支払えばいいが、多額の場合、銀行預金から振り込むケースもあるだろう。その際は、修正申告の日に振り込むか、それまでに振り込んでおくか、である。
通常の納税を銀行口座自動引き落としにしている人もいるが、修正申告分は対象外だ。振り込みには、国税専用の納付書が必要だ。用紙は税務署と金融機関にあるが、所轄の税務署名がプリントされているのが通常である。
なお、ダイレクト納付などの手続きをしていれば納税はネットで完結する。
確定申告を準備している時に、前の申告内容の間違いに気がつくこともあるだろう。今回の確定申告と以前の分の修正申告を同時に申告してもいいが、納税の期限と手続きは上記のように異なるので、要注意だ。
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延滞税などに注意する
修正申告の納税額が1万円を超える場合は延滞税がかかる。ただし「特定の資産の買い換え特例」などを申請したが、結局、諸般の事情で買い換え特例を利用しなかった場合などは、延滞税の対象にはならない。
延滞税などがかかる場合は、それも含めて納付するのが原則だ。そうしなかった場合は、あとで税務署から納付せよとの通知がくる。
延滞税などのあらましは、以下リンクを参照のこと。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/osirase/9205.htm
http://legacy.ne.jp/about/procedure/change_name04/
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住民税はどうなるか
修正申告のデータが、通常の確定申告の時と同様に、税務署から自治体に通知される。自治体では、過年度の住民税の更正の通知を送ってくる。住民税も自動引き落としにしている場合は、更正額も自動で引き落とされる。そこが国税とは異なる。
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社会保険も要注意
修正申告で所得が増えたことを申告すると、社会保険も変ることがある。たとえば国民健康保険は、所得に応じて保険料(保険税)の額が決まるので、自治体から更正の通知がくる。
そこで支払った社会保険料は、翌年の確定申告の際には、社会保険料控除の対象になる。社会保険料控除は、基本的には実際に払った年の控除の対象になるからだ。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1130_qa.htm
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通知に注意する
前述のとおり、修正申告した後で、各種の通知が来るので、内容を確認して対応する必要がある。
修正申告に伴って延滞税、過小申告加算税などの支払が必要なことがある。納付していなかった場合、通知がくる。
また自治体からの通知も確認しておく。
さらに、社会保険も複雑になるので、通知によく注意する。いつもは給与や年金からの天引きや自動引き落としだから、と放置していると、督促がくることもある。
以上、既存のサイトではちょっと気がつきにくい点をまとめました。参考になれば幸いです!
実際には、いろいろなケースがありますので、詳細については納得のいくまで、税務署や税理士などに確認することが必要です。
税務署も、しっかり尋ねれば丁寧に教えてくれますよっ。
(ただし、税務署が担当しているのは、所得税や消費税なんかの、「国税」 だけです。だから、住民税や社会保険なんかは、税務署の守備範囲外ですから注意してくださいね。)
2017.4.3 e-Taxについての記載を追加。