トランプ氏がインディアナ州での予備選に圧勝、クルーズ氏が撤退を表明、指名獲得が濃厚になったとの報道である。下の画像は、そのBBCニュースからの引用である。
BBC「2016年05月04日 12:12【米大統領選2016】クルーズ氏、共和党レース撤退 トランプ氏が党候補の見通し」より
(右下にAPとあるので、元出典はAP)
この画面から何をイメージするだろうか。
典型的な、白人の叩き上げ系おっさんと白人美女3人、である。美女3人は、成功の果実、トロフィーである。成上がり者をこれほどわかりやすく表現した画像も多くはないかもしれない。(なお、トランプ氏自体は、父親が成功した不動産事業者であるので、成上がり者とはいえない。)
トランプ氏の身近に侍る美女たちは、トランプ氏の家族であろう。
Wikipediaの記述から推定すると次の3人ではないか。
現在の妻である、24歳年下のスロベニア出身のモデル、メラニア・クナウス。
姉のマリアン・トランプ・バリー、連邦高等裁判所の裁判官。
娘のイヴァンカ、二児の母。主婦業、母親業、モデル業をこなす傍ら、相続人としてトランプ・オーガナイゼーションの副社長も務め、父ドナルドの選挙活動にも出馬会見や集会で前座を務めるなど活発に参加している。
とのこと。それぞれになかなかの美人で、かつタレント(才能の持ち主)のようだ。
それはともかく。
この写真は、トランプ氏の本質を、ある種雄弁に語っているように思う。
「彼なら、ワシントンやウォールストリートでお高くとまったエスタブリッシュメントの連中の鼻面をつかんで振り回してくれる。」そんなイメージではないだろうか。アメリカンドリームや米国に侵略してきた異星人をやっつける映画を見たあとで、居酒屋でビールで一杯やる白人たちに受けるだろう。
反(非)エスタブリッシュメント、反(非)ワシントンのイメージ、という点では、古くはジミー・カーターも使ったし、バラク・オバマもそうだ。
しかし、トランプの発するイメージは、もっと「明るくダーティ」だ。そこには、「正義」、「理性」、「賢明さ」といったイメージは一切ない。トランプ氏が不正行為をしても、おそらく支持者は許すだろう。彼が発するものは、それらではなく「パワー」であるからだ。
もちろん、「明るくダーティ」というのは私の主観である。成功者が美人と結婚することも結構なことだ。トランプ氏が不正を働いたということではない。しかし、画像からそんな感じがしませんか? トランプ氏がフェア・プレイヤーとは到底思えないし、そのようなイメージ戦略を取っていない。
私としては、おつきあいしたくないたぐいの人たちである。もちろん、相手も私など、到底歯牙にもかけてくれないだろうが。
大統領選は、ヒラリー・クリントン対トランプの戦いになることはほぼ確定的だ。私はヒラリー・クリントンを必ずしも支持するものではないが、共和党候補にこのような人物が選ばれそうな米国の、そして世界の現状を危惧する。米国の少なからぬ人たちが、彼を支持しているという現実に。
万が一、ヒラリーが何かのスキャンダルでこけて、トランプが大統領になったら。それは世界の悪夢だろう。今主張しているほど極端な政策はとらないにしても。世界は融和よりは分断に進むだろう。
(文中、一部敬称略)