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蓮舫氏は二重国籍だった~びっくり事実判明で大訂正~

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 蓮舫議員の二重国籍問題は勘違い多発というエントリーを書きましたが、その後の報道やご指摘がありましたので、最新情報に基づきそれらを整理します。

 

報道では、「蓮舫議員は二重国籍だった」ので「改めて外国籍放棄の手続きをしている」とのことです。

(今回のまとめ)

Q1:蓮舫氏は台湾籍の放棄宣言をしていないのではないか。

A:私たちは「日本国籍選択と外国籍放棄宣言」をしていると思っていたが、それをしていないみたい。

Q2:台湾の「国籍」はどうなるのか。日本は大陸の法律で判断するのか。

A:日本は台湾の法律で判断する。

 

(目次)

 

蓮舫氏の最新の主張

蓮舫氏のフェイスブックより全文引用(太字引用者 以下同じ)
9月13日 11:17 · 

『私は日本人です』との書き出しでこのFBに私の思いを綴りました。
厳しいご指摘、温かいエールなど、本当に多くのコメントをいただきました。ありがとうございます。昨夕、確認作業をお願いしていた台湾の駐日代表処から回答をいただいたので、先ほど会見をしました。発言要旨は以下です。
「私の国籍などのことについて、先般来、17歳の時に日本国籍を取得し、その際にあわせて父親と同行して台湾代表処に出向き、その時台湾籍を放棄したものと認識していると説明してきました。あわせて、台湾の駐日代表処に確認作業を行ってまいりましたが、昨日夕刻、私の台湾籍が残っていると台湾当局から報告がありました
「これまで私は先に申しましたように、17歳の時に父親と同行して台湾籍放棄の手続きをとったとの認識で今日まで至っていましたが、31年前の私の記憶の不正確で今回ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。当初の段階で私の発言が統一性を欠いたところがあり、皆さんにご迷惑をかけたことも申し訳ありません」
「あわせて、大好きな父の故郷である台湾の皆さんにもご心配をおかけしました」
「私の認識と違って台湾の籍が残っていたとしても、これまで政治家として日本人以外の立場から行動をとったことは一切なく、あくまでも日本人として行動してきたことを、改めてお伝えさせて頂きたいと思います」
「なお、先にご報告したように、現在、改めて台湾の籍を放棄する手続きをとっており、この手続きが近々完了すれば、私の国籍などに関する問題は最終的に確定すると思っています
「その上で申し上げさせて頂ければ、私の中にある台湾の血、謝家の血というのは、私の大切なルーツのひとつであり、今後も政治家として、台湾との友好をライフワークのひとつとして取り組んでいきたいと思います」
「私は自分の意思で17歳の時に日本国籍を取得しました。私は日本人として我が国を愛し、我が国のために働いてきました。これからも日本のために働きます」

 

前回エントリーについて2つの疑問をいただきました。  

Q1.蓮舫氏は台湾籍の放棄宣言をしていないのではないか

「一読者さん」からの指摘です。

私は蓮舫さんは国籍選択宣言をしていないのではないかと危惧しています。
あなたにも誤解があるかも知れませんが,昭和59年法律45号附則5条による国籍「取得」と国籍法14条の「選択」は別個の行為で,取得してから22歳までに選択すればよい。したたかなる華僑であり,台湾籍にも愛着のある蓮舫さんは,取得はしたが選択していない可能性があるのでないかと思います。

結論からいえば、この一読者さんのご指摘のとおりです。 

 

前回エントリーで引用した蓮舫氏のフェイスブックの投稿から抜粋します。

改正国籍法が施行(昭和60年1月1日)された直後の昭和60年1月21日、日本国籍を取得しました。17歳のときでした。
日本法の下で適正な手続きを行い、国籍の届出を行いました。

 この「日本国籍を取得」、「国籍の届出」というのが曲者です

蓮舫氏は、昭和60年の国籍法改正によって、母が日本人であることから日本国籍を取得することができるようになりました。

国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律

第5条 昭和40年1月1日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から3年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。 

蓮舫氏は、17歳の時に、まさにこの手続きをした模様です。日本国籍の取得証明を持っているわけ。

一方、国籍法で義務付けられている「日本国籍の選択と外国籍の放棄宣言」については、行っていなかった模様です。

その代わり、台湾籍を離脱する手続きをしに、父親と台湾当局に行った、と記憶していると言っていますが、台湾当局によれば、台湾籍は離脱となっていないことがわかりました。

 

台湾当局で台湾籍を離脱が受理された場合、市区町村に届けねばなりませんが、それもなされていないことになります。

戸籍法

第百六条  外国の国籍を有する日本人がその外国の国籍を喪失したときは、その者は、その喪失の事実を知つた日から一箇月以内(その者がその事実を知つた日に国外に在るときは、その日から三箇月以内)に、その旨を届け出なければならない。
○2  届書には、外国の国籍の喪失の原因及び年月日を記載し、その喪失を証すべき書面を添付しなければならない。

ここまでで、蓮舫氏は法的には違法状態である、ということになります。少なくとも合法状態であることの証明がない、ということ 。

 

Q2.台湾の国籍はどうなるのか

「悪きゅうり」さんから、台湾(中華民国)と大陸(中華人民共和国)について、以下の疑問をいただきました。

疑問があるのですが、「個人を律する法律」は別問題というのはいまいち解せません。
在留カードに「台湾」と記載する事と法律ではまったくレベルが異なると思うのですが。
パレスチナは正式に国籍として認められているのですが、台湾(中華民国)についてはそのような見解はあるのでしょうか。
別のラジオ番組でも「日本の公式見解では中華人民共和国のみを国家として認めている以上、その法律に従う」と述べている人がいます。
これでいうと蓮舫氏の問題は「台湾と彼女・日本と中華人民共和国の問題」であって、「日本と中華民国の間の問題」ではないことになりますが。

 これは、蓮舫氏本人や蓮舫氏擁護派の主張も、その論旨となっている話。

蓮舫氏の以下のエントリーでもそうなっています。

 

news.yahoo.co.jp

 

少し法律的な話になりますが、(日本と中華民国が断交した)1972年以降、私の国籍は形式上「中国」になっています。仮に中国の国内法では外国籍を取得した者は自動的に喪失をしているので、二重国籍にはなりません。

また、日本と台湾は国交がないので、台湾籍を有していたとしても法的に二重国籍だと認定されることもありません。しかし、父の生まれた地である台湾のことでもあり、疑問を持たれることがあるならば、ここはしっかり払拭するべきだと考えて、今回、台湾籍の放棄の手続きを取りました。ここに尽きると思います。

 

ここ(太字部)が、勘違いでしょう。

日経電子版「二重国籍問題 蓮舫氏、幕引き急ぐ」より引用2016/9/14 0:28 

台湾当局に照会し、12日夕に大使館に相当する台北駐日経済文化代表処から台湾籍があると連絡を受けたという。蓮舫氏は台湾出身の父と日本人の母の間に日本で生まれた。日本人の母を持つ人が日本国籍を持てるようになったのを受け、日本国籍を取得した。

 日本は台湾と国交がない。仮に中国の国籍法に照らせば、外国籍を取得した時点で中国籍を自動的に失い、二重国籍の問題は生じない。一方、台湾は台湾籍を抜かなければ台湾籍が残り、二重国籍になる。

 日本政府は「台湾において、台湾の法が実効性を有している以上、台湾出身者にはその法が適用される」との立場。台湾では20歳未満は単独では台湾籍を離脱できないとされ、17歳で台湾籍を離れたとする蓮舫氏は二重国籍でないかと指摘を受けていた。

 日本の国籍法では、二重国籍者は22歳までに国籍を選ばなければならない。外国籍の放棄を宣言すれば日本国籍を選んだことになるが、この場合「外国の国籍の離脱に努めなければならない」としている。蓮舫氏は記者団に「17歳で日本人になった。台湾籍を放棄したと認識して今に至っているので、違法性はないと考えている」と述べた。

 これについては、蓮舫氏の主張と類似した共同通信の報道もありますが、日経記事のほうが正確でしょう。

理由は、少し考えれば理解できます。

 

もしも、台湾(中華民国)籍の取り扱いで、日本政府が大陸(中華人民共和国)の法律で判断するとすれば、どうなるか。台湾籍の方の国籍の離脱などの証明書も大陸の大使館が発行したものを正とする、ということになります。それは、当然にありえません。

 

日台は国交がありません。それは、台湾、大陸とも、大陸と台湾は「一つの中国」という建前であったからです。ちなみに台湾の新政権は、ここについて微妙な立場ですが、以前は「一つの中国」を主張していたのです。その結果、国際政治の場で、台湾が負けて、大陸が勝ち、今は、台湾は「国家」というよりも「地域」という扱いを受けています。

 

しかし、台湾では、中華民国の法が実効性を持っています。したがって、国家間では「国交」は行えない(行わない)にしても、個人の取り扱いについては、上記引用の<日本政府は「台湾において、台湾の法が実効性を有している以上、台湾出身者にはその法が適用される」との立場。>というのが整合性があります。

これは例えば、出入国における旅券やビザの取り扱い、貿易などなど、国家間の「正式の国交」以外の実務上の領域のほぼ全てにおいていえることです。

 

2016.9.18追記

大陸と台湾の問題について、共同通信が誤りで、日経が正しいことが判明しました。

一つは、過去の国会答弁。池田信夫氏の以下のエントリーとリンク先の国会議事録で明白です。

蓮舫氏には台湾の国籍法が適用される – アゴラ

また、共同通信報道は、削除、訂正されているとのこと。以下の清義明氏のエントリー参照。

誰もトクにならない「二重国籍」問題 ・・・法務省の韜晦テクニックの裏側 と「ふたつの中国」

但し、清義明氏の新たな政府見解への解釈等には賛同しかねます。 

 

2016.10.15追記

10月14日の金田法務大臣会見などで、日本の国籍法上、台湾の国籍離脱証明書の取り扱いについては若干留保が必要なようです。関連する情報を以下に上げておきます。記者会見はのちに法務省HPに要旨が発表されますので、その時点で再確認したいと思います。

今明確なのは、大陸中国の法を日本政府は台湾の人に対して適用されるものとは考えていない、ということ。ならば台湾の発行した証明書はどう扱うか、ということろが微妙です。

 

(台湾の取り扱い)

蓮舫氏には台湾の国籍法が適用される – アゴラ 大陸(中共)法が適用されるという誤解を解く(のだが、やや勇み足)。

蓮舫二重国籍についての法務省見解はこうだ(増補あり) – アゴラ 台湾の国籍法上の取り扱いは明示されていない。

台湾政府の許可証受理せず=蓮舫氏の手続き不備か-金田法相:時事ドットコム 

10月14日の記者会見。

ここまで追加。

 

法的にいえば

違法状態かどうか

これまで、蓮舫氏は日本国籍選択と外国籍放棄の宣言をしたので国籍上の義務は履行しているが、「外国籍離脱の努力の有無」が問われてきました。

しかし、そうではなく、外国籍離脱の手続きをしたつもりであって、その旨を日本に届け出る手続きを怠っていた。ということのようです。

戸籍法

第百六条  外国の国籍を有する日本人がその外国の国籍を喪失したときは、その者は、その喪失の事実を知つた日から一箇月以内(その者がその事実を知つた日に国外に在るときは、その日から三箇月以内)に、その旨を届け出なければならない。
○2  届書には、外国の国籍の喪失の原因及び年月日を記載し、その喪失を証すべき書面を添付しなければならない。

したがって、違法状態である(少なくとも合法である証明はない)といえます。 

実務上は

法務省:国籍Q&AのQ15

重国籍者は,重国籍となった時が20歳未満であるときは22歳に達するまでに,重国籍となった時が20歳以上であるときはその時から2年以内に,いずれかの国籍を選択しなければなりません。
 この期限内に国籍の選択をしないでいると,法務大臣から国籍選択の催告を受け,場合によっては日本国籍を失うことがあります。

ただし、実務上は、国籍選択をしないでも催告されることは、ほとんどありません。

(2016.9.18追記 上の行の「ほとんど」を削除しました。日弁連意見書10ページ参照。ただし、催告が行われているような情報もありますので、現在また将来、絶対ないとは断言はできません。)

 

したがって、法的に違法状態ではありますが、今回手続きを正式にとることによって、合法状態になることは可能です。

法的に、蓮舫氏が処罰されることはまずないでしょう。国籍法上は届出しなかったことについての罰則がなく、戸籍法上は、5万円以下の過料です。

第百三十五条  正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。

違法性はない?

一方、上の引用した日経では、蓮舫氏は「17歳で日本人になった。台湾籍を放棄したと認識して今に至っているので、違法性はないと考えている」と主張したそうです。

認識の議論をすれば、そういう面では「違法性はない」といえば言えなくもないでしょう。が、こういうことを「違法性はない」と、主張するのは政治家としてはどうか、という批判は免れ得ないでしょう。むしろ、「違法なことをやっていた認識は全くながったが、ごめんなさい。」というのが適当でしょう。

また、「台湾籍を放棄する意思が本当に強くあったのか」といえば、そこについては、蓮舫氏の過去の言動からみて、いろいろな見方が出てくることは当然でしょう。

前提が変わった

蓮舫疑惑の発端の、八幡和郎氏のエントリー蓮舫にまさかの二重国籍疑惑 – アゴラでは、

 「どの時点かは不明だが、蓮舫は日本国籍を選択する手続きを法務局にしたようだ。」

としていて、私も、これを前提に論を展開しました。

しかし、その前提がそもそも違ったようだ、ということが判明したわけです。

(正確にいえば、蓮舫氏は「(日本)国籍の届出を行いました。」と言っているので、八幡氏の前提は間違いの可能性が高い、ということ。)

議論の前提が変わると、議論も当然に変わってきます。ここは改めて要注意、と思いました。結果的には、あたしも「勘違い多発」の一環を担っちゃったわけです。

 

ということで、前回エントリーとの関係を整理しておきます。

 前回エントリーの(蓮舫疑惑のまとめ)の最新版(→以下が最新版

1.蓮舫疑惑は「外国籍を放棄していないのではないか」というもの。→変更なし。

 

2.日本の制度上は、日本国籍の選択と外国籍の放棄宣言が一緒に行われる。→変更なし。

ただし、蓮舫氏はそもそも「日本国籍選択&外国籍放棄の宣言」をしていない模様。蓮舫氏は「外国籍離脱の手続きをしていたつもり」だったがそれも行われていない模様。(台湾当局は台湾籍が残っていると言っているので、実際にはそれが行われた証拠がない。)

 

3.ただし、(当該国で)外国国籍を喪失していない場合は、外国国籍の離脱の努力が課される。蓮舫氏は、以前したつもりだが、念のため再度手続きしたと言っている。

蓮舫氏については、2の手続きではないので、「外国国籍の離脱の努力」の有無の問題ではなくなる。

 

前回エントリーの「混乱を呼ぶ勘違い」の最新版(→以下が最新版

勘違いその1「蓮舫氏が日本の法律の元でも、外国籍を放棄していない」

これは勘違いではなく、そのとおりだった模様。

 

勘違いその2「蓮舫氏が帰化人」→法的には勘違いのまま。(前回どおり)

ただし、生まれた後で日本国籍を取得することを広義の「帰化」と呼べなくはない。法律と日常用語の違い。

 

勘違いその3「蓮舫氏の外国籍は、中華人民共和国の法律に基づいて判断される」

日本政府によれば、これは勘違い。(前回どおり)

 

 

コメントくださった皆様、ややこしい話をここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます!

これからも一緒にがんばろうねっ!

 

 

前回エントリー

www.munokilan.com

 

 

ところで、こういう見方もあるようですね。今回はこちらには踏み込みません。

【蓮舫「二重国籍」】父親の“祖国”から「冷酷すぎる女」と非難された蓮舫氏

民進党の綱領に書いてある「共生社会」って、なんでしょうか。

 

 (引用部の太字はすべて、引用者によります。)

 

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