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蓮舫氏は日本人ではないので国会議員になれないのか~原口元総務大臣と池田信夫氏は正しいか~

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蓮舫氏の二重国籍問題で、本丸的(?)な主張が出てきました。

それは、<蓮舫氏は「日本人ではないので国会議員になれない」>という主張。

私は、これは無理な主張と考えます。

 

ikedanobuo.livedoor.biz

(太字は引用者)

原口「国籍法16条は努力義務ですが、14条によって台湾籍は放棄しとかなきゃいけない。それをなされないということは、14条違反になる。私は総務大臣だったので、そこからひるがえると公職選挙法や政治資金規正法違反になる。国会議員になるには日本人でなければならないという根本的な要件を満たしていない疑いがある」。

これは八幡さんも私も指摘した通りだ。日本国籍を選択するためには、国籍法14条2項によって外国籍を離脱していなければならない。「外国の国籍を放棄する旨の宣言」はブラジルのように国籍離脱を認めていない場合であり、台湾は国籍離脱できるので、台湾の国籍喪失証明書がないと日本国籍は取得できない。

「日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによる」つまり外国籍を離脱することによって初めて日本国籍を選択するので、台湾国籍を抜いていない蓮舫氏はまだ日本国籍を選択しておらず、公選法10条で被選挙権の条件として定める「日本国民」ではないので、国会議員にはなれない。したがって彼女は議員資格を失い、民進党代表の地位も失う、というのが原口氏の見解だ。

太字部にもいくつか勘違い、牽強付会がありますが、以前のエントリーで述べている部分もあり今回は触れません。

 

その後、池田氏は、指摘を受けてトーンダウンしました。

 追記:コメント欄で指摘されたが、金氏は「帰化」を国籍取得と取り違えている可能性がある。帰化の場合は事前に国籍離脱が必要だが、国籍取得の場合は22歳までに離脱すればいい。しかし結果的に離脱していない場合は、14条違反になる。この状態で被選挙権を認めるかどうかは選管の判断だが、過去に二重国籍で立候補を認めたのはフジモリ元大統領のケースだけだ。

この池田氏の追記の主張も不正確です。外国籍の「放棄の宣言」をしていれば離脱していなくても14条違反にはなりません。 (16条の努力義務の問題は残ります。)

 

蓮舫氏は日本国籍を持っている

蓮舫氏はフジモリ氏のケースとは、大きく異なります。むしろ「過去の二重国籍で立候補を認めなかったケースはどういうケースか。それに当てはめると蓮舫氏はどうなるか」が重要。

そして、選管は立候補を認めているが、それを今から取り消すかどうか、という問題になります。

 

そもそも、選挙制度上は、日本国籍を持っていることが被選挙権の要件であり、二重国籍を明示的に禁止していません。ただし、国籍法上は、22歳までに二重国籍者はどちらかの国籍を選択せねばならないとなっている。そして被選挙権は25歳以上(知事は30歳以上)となっているので、この2つを考え合わせると、池田氏のような主張になります。

 

蓮舫氏は国籍法の違反状態(14条か16条いずれか)ではあるようです。しかし国籍法上、国籍法違反者は、日本国籍を必ずはく奪されるとはなっていません。そして、国籍選択不履行で催告されてはく奪されたケースはない(らしい)。

蓮舫氏は日本国籍を取得しており、その後、日本国籍をはく奪されていません。そうでなければ、さすがに選管は立候補を認めないわけです。したがって、国籍法によって日本国籍はく奪がなされていない以上、蓮舫氏は日本国籍を持っている、ということになるでしょう。

 

国籍選択をやらないことで、国籍をはく奪されるには、催告の手続きが必ずあります。しかし、催告は蓮舫氏に限らず、まず、なされていません。池田氏たちの主張は、催告もせずに蓮舫氏の日本国籍をはく奪せよ、という主張になるわけです。

 

そうでなければ、次の主張になります。

池田氏の主張は、選管に大きな解釈権を持たせるということ

公職選挙法にも書いていないことで、国籍法以上の判断を、選管がすべきででしょうか。池田氏の主張は、選管にそれ以上の判断の権利を持たせる、ということになります。

私は、選管がそういう判断をするとは思えないし、すべきとも考えません。

 

池田氏は、原口氏が元総務大臣であったからということで、原口氏の主張に重みをもたせているようです。しかし、大臣の法律知識は、まちまちであることは常識です。幸か不幸か、大臣は法律家ではありません。

 

やっぱり国籍選択の届出の有無が大事~戸籍謄本を公開すべき~

で、国籍法については、国籍法14条違反なのか、国籍法16条の努力義務違反状態なのか、というのがやはり重要な論点になります。(前者よりも後者のほうが違法性が弱い。)

つまりは、国籍選択を「国籍選択の届出&外国籍放棄宣言」を市町村役場に出したかどうか、ということ。これは戸籍謄本を見れば一発でわかることです。

 

蓮舫氏は、二重国籍でしょうが、日本国籍を持っていることは疑いのないところです。

議論の迷走を防ぐためにも、蓮舫氏は、戸籍謄本の内容を公開すべきです。

 

法務省:国籍法 (太字は引用者)

第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。


第十五条 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。
3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。
ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。


第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。
5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。

 

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