むのきらんBlog

むのきらんBlog

自由に考えよう

自殺が減った本当の理由は「ほにゃら化」

自殺が急激に減っています。年間3万人を超えていた自殺が、昨年は、ついに2万人強にまで減りました。減少した原因は、世間でよく言われることとは、少し違うところにあるのではないでしょうか。あたしは世間が「ほにゃらになったから」ではないかと思います。

自殺は激減している

警察庁 自殺者数の年次推移

f:id:munokilan:20170128115423p:plain

上のグラフは、H26、つまり2014年までのデータですが、さらに、2015年は2万4025人、そして2016年は2万1764人と7年連続の減少になりました。

自殺が急増し3万人の大台に乗り、社会問題として騒がれた1998年以前のレベルに落ちたのです。

もはや、激減、と言っていいでしょう。

 

自殺が減った原因は「地域の取り組み」か

減少の理由等を、日経は共同通信の記事としてつぎのように伝えています。(太字筆者)。

自殺者、22年ぶり「低水準」 16年2万1764人
女性は最少
2017/1/20 10:42
 昨年1年間の全国の自殺者は前年より2261人少ない2万1764人で、7年連続の減少となったことが20日、警察庁の集計(速報値)で分かった。減少率は9.4%で、1978年に統計を始めてから最大。2万2千人を下回るのも94年以来で、22年ぶりの「低水準」となった。性別では男性が1664人減の1万5017人。女性は597人減の6747人で過去最少を更新した。

 自殺防止計画の策定を地方自治体に義務付けた改正自殺対策基本法が昨年4月に施行されており、厚生労働省自殺対策推進室の担当者は「地域の取り組みがより推進されるようになった」と説明している。

 同推進室が昨年1~11月の集計を分析した結果では、あらゆる年代で自殺が減少。70代は441人減の2761人で最も減り幅が大きく、次いで40代が344人減の3442人、50代が322人減の3345人だった。動機別では、健康問題や経済・生活問題の減少が目立った。年間の分析は3月に発表する。

 都道府県別に見ると、東京が最多の2215人で、北海道や埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪が千人超。自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は秋田の25.7人が最も多く、岩手と和歌山が24.6人。

 自殺者の増加率は、高知が27.0%で最大だった。これに福井18.9%、和歌山15.6%が続いた。減少率は山口23.7%、島根23.4%、鳥取21.9%の順だった。

 年間の自殺者は78年から97年まで2万人台で推移し、98年からは14年連続で3万人を超えた。最多は2003年の3万4427人で、最少は81年の2万434人。〔共同〕

 

確かに、地域の取り組みのせいもあるでしょう。また、失業率の低下など雇用環境の好転などもあるでしょう。しかし、一番の理由はちょっと違うところにあると思います。 

 

自殺のプロセス

自殺は、ある種の「発作」と考えることができます。典型的なのは「うつ」。うつにもいろいろありますが、病気、リストラ、過労など、高いストレスにさらされた時、うつが発症しやすくなります。それがさらに進行すると、自ら命を絶つ、という行為に及ぶことがあります。

 

逃げ場の有無がポイント

こういうパターンに陥らないようにするには、どうしたらいいか。それは、「逃げ場がない状況に追い込まれない、自らを追い込まない」こと。

失業やローン破綻などの経済的な理由と自殺にはもちろん関係があります。しかし、そのような人たちの中で、自殺に至る人はわずかです。ほとんどの人は、自殺しないのです。その中で、自殺に至るのは、逃げ場がない、ということがポイントなのです。

 

従来は、メンタルヘルスの問題が叫ばれながらも、「うつ」などを公表しにくいムードが強くありました。「うつになるのは、心が弱いせいだ」みたいな雰囲気がありました。

 

世の中がほにゃらになった

近頃は、その雰囲気がだいぶ変わってきたように思います。

本人や連れ合いが「うつになって」という会話が、割と普通にできるようになってきました。「うつ」が、身体的な病気と同じように、多かれ少なかれ、誰もがかかりうる、ある種の「病気」として認知されたのではないでしょうか。

 

その結果、周囲と相談できるようになった。つまり逃げ場ができるようになった、ということが、自殺を減らした主因ではないかと思います。

つらいことを「つらい」と言えるようになった、というようなことです。

 

つまり、世の中がゆるくなった、ほにゃらになった、ということもできるわけです。

従来の男らしさ、女らしさ、大人はこうでなければ、みたいな規範が、ややゆるくなったということではないでしょうか。

その点では、ちょっとはいい世の中になった、と見ることもできますね。うつや自殺にならないためにも、ゆる~く生きたいものですね。泣き言を言える関係が大事ですね。泣き言、言っちゃっていいんだよっ!

あなたは、かけがえのない、あなた、なんだからねっ。