むのきらんBlog

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豊洲と築地の比較は正しいか~築地は既存不適格物件~

豊洲市場問題、ついに築地にも飛び火(?)しました。

築地のほうが、豊洲より危ない、ということです。

戦後の進駐軍(米軍などのことです)のクリーニング施設もあったので、土壌も汚染されているおそれが高いとのことです。それ以外にも、老朽建物の耐震性や、開放型市場であるゆえの衛生面の問題など、築地は深掘りすればするほど、安全とは断言できにくなります。

 一方、だからといってそれは「豊洲が安全」「豊洲が妥当」ということにはならない、という意見もあります。

どちらが正しいのでしょうか。

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画像は築地市場のご紹介|東京都中央卸売市場より

 

築地と豊洲、どちらが危ないか

これは、文句なく、築地が危ない。それは明白です。ただし、築地の危険度は、「食の安全」という観点から見れば、まあ当面容認できる程度。築地の土壌がどうこう、ということではなく、開放型市場というスタイルは、基本的には一定の危険を伴うのです。食品工場や外食店の厨房の衛生管理を考えると明白です。ただし、開放型市場は、実は築地だけではありません。したがって、築地は「ただちに閉鎖せねばならないほど危ない」のではないのです。

  

「築地が豊洲より危ないからといって、『豊洲が安全』とはいえない」論は正しいか

答え:正しい。

「築地が豊洲より危ないからといって、『豊洲が安全』とはいえない」論、っていうのは、ポピュラーな問題です。

建物を新築する際に、それまで住んでいた建物が、危ないから、新築建物が安全、とは言い切れませんよね。

建築や不動産の用語で、「既存不適格物件」という言葉があります。耐震基準などは、どんどん厳しくなっていきます。なので、昔の基準でOKだった建物も、現在の基準で見れば、「危ない」ということになります。だからといって、住んじゃダメ、取り壊さなければダメ、耐震補強しなくちゃダメ、っというわけではありません。(耐震補強は、一定の規模や用途の場合は、補強していない建築物が公表されたり、耐震補強が促されるなどの動きはありますが。)

 

なので、一般に、新しい基準に適合した建物のほうが、安全、というのは当たり前。

 

で、豊洲は、基準に適合しているのです(都の環境確保条例や土壌汚染対策法など)。

 

では、新しい基準に適合した施設である豊洲は絶対的に安全か、といえばそういうことはありません。世の中、絶対はないわけです。

また、風評リスクという面でいえば、豊洲以外により良い候補地があれば、そこがベターでしょう。しかし、面積やアクセスその他の理由で、種々検討の結果、豊洲がベターである、というのが、これまでの都の結論です。それに対する説得力のある代替案は、今のところ見当たりません。

 

つまり、豊洲が「まし」であり、説得力ある代替案はない

ということなのです。

なお、そもそも、卸売市場のあり方はそれでいいのか、という問いはあります。これからの流通を考えた時に、現在のスキームは卸売市場法を含めて見直すべきです。

 

とはいえ、豊洲危ない、豊洲反対、という主張をする方は、具体的な代替案を出すべきでしょう。「危ない」といえば、たとえば地震リスクを考えると、東京都自体が、「危ない」 わけなのです。