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複式簿記なんていらない?~黒字倒産の犯人は~

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起業や事業をするときに、必ず通らなければいけない関門が「複式簿記」。会社の経理には義務付けられてますし、個人事業でも、税金の青色申告にはつきものいっていいものです。してないと、65万円の特別控除が受けられませんから。

 

でもね、複式簿記って本当に必要なんでしょうか。本当はいらないんじゃないですか。

 

複式簿記って実は、黒字倒産の真犯人にして、会計を「会計専門家の聖域」にしちゃってる「悪魔の経典」なんです。

 

こいつのどこがヤバいかを解説します。

 

 

 

複式簿記のフクちゃんです! 

簿記とか経理とか財務会計とかなんとか、難しめのこと習う時に、必ず出てくるこいつ、複式簿記。フクちゃんって呼びますね。そう呼ぶと、そこはかとなく可愛い感じもしますが、こいつが曲者、食わせもの。

 

フクちゃんのそもそもはの出自は、ローマかイスラム商人かなどの説があります。ベニスの商人たちも使っていたみたいです。

複式簿記 - Wikipedia

 

なんで彼らが、面倒くさいフクちゃんを使ったのか。

 

それは、香料から奴隷まで手広く商いをするとき、地中海一円をまたにかけて交易をするときに便利だから。

いつも、現金払いならば、単にお金の出入りだけきちんと帳面に付けておけばいいわけです。でも、それだと商いが大きくなりません。

奴隷を100人仕入れる、香料を奴隷一人分の重さ仕入れる、なんてとき、大金を払うよりは、「お代は奴隷や香料が売れたときに支払いますから、先に商品を送ってよ」ってやったほうが商いが大きくできますよね。

今でいう、後払いの掛け売り・掛け買い、です。当時は、そういう「信用」による取引のネットワークが発達していました。

 

そうすると、手元の現金の出入りだけでは、いくら儲かっているのか、売り掛け、買い掛けはいくらあるのかがわかりません。それをきちんと帳面につけるために、複式簿記はいい方法だったんです。

 

実は複式簿記でなくても、買い掛け帳、売り掛け帳だけでも、買掛金、売掛金は管理できます。しかしそれでは、いくら儲かっているか、在庫はどうなっているか、それらの全体像がわかりません。なんらかの整理する仕組みが必要です。

だから、複式簿記、そしてそれを一定のタイミングで整理した貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)は、とっても便利な発明だったんです。

そこまではいいんです。

 

でね。

それを体系化、理論化したのが「簿記会計の父」と呼ばれたルカ・パチョーリ、15世紀イタリアの修道僧、お坊さんですね。

ルカ・パチョーリ - Wikipedia

どうやら、ルカ坊さんが、きちんと整理してくれたおかげで、「経典」と化していったわけですね。だから、「会計」というと、このフクちゃんが「常識」っていうことになっちゃったわけ。

 

で、何がやばいか

といえば、

黒字トーさん

です。

金持ちとーさみたいで、黒字のお父さんならいいじゃん、いよっ社長さん、ってい感じ。

でもこいつは、「黒字倒産」。

つまり、「勘定あって銭足らず」、ってことが起きちゃう。

 

「我が社の今期の損益は、黒字です。利益が出ます。よかったよかった」なんて言ってるうちに、「いや、でも、月末に支払うお金がありません。」みたいな話しが飛び出しちゃう。

 

え、まじですか。さっき黒字って言ったでしょう! っていうと、経理部の人は、「これだからあ、素人は」っていう微妙な目つきになって、「黒字で利益が出ますと言いましたが、それと資金繰りは別です。」っていい放つわけ。

それならそうと、先に言ってよね! って思いますよね。

 

この 

黒字とーさんの犯人

がこれ、フクちゃんなのです。

 

では、実行犯は、というと。

・棚卸資産

・仕掛品

・売掛金

・元金返済

などです。

 

減価償却といい、こいつらといい、どうも、経理独特の四文字(三文字)熟語には、要注意です。

こいつらのおかげで、実際にはお金(キャッシュ)がなくても、帳簿上の、見かけ上の利益が出ちゃうんです。

 

もちろん、棚卸し資産でも、明日ちゃんと売れればいいんですが。でも、原価(コスト)を沢山かけたけど、売れ残っちゃったものが棚卸し資産になしがち。タダでも引き取り手がない、とかね。

 

また、売掛金も要注意。ちゃんとした会社ならば、期日にはちゃんと払ってくれますが、お金はチャリーンと入るまで、気が抜けません。

取引先だって、倒産することがあるのです。そういうときは大抵、音もなく突然に、やってくるもんです。

 

それやこれやの元凶が、繰り返しになりますが、複式簿記のフクちゃんなのです。

 

で、近年は、この欠点を補うために、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)に加えて、キャッシュフロー計算書(CF)が大事ってことに。キャッシュフロー会計なんて言ってるけど、要は、資金繰り表の進化版のことです。

BSやらPLやらの前に、まずキャッシュフロー。

だから、 

キャッシュイズキング

です!

 

ついでにね。

中央卸売市場をめぐって、豊洲か築地っていう騒ぎがありますよね。豊洲にはもう8000億円かけちゃった。しかし、これは、逆立ちしても戻ってこないお金なんです。それを、サンクコストっていいますね。

 

だから、いくらかけたか、なんでことじゃなくて、これからどっちがいいかで判断することが大事なんです。

それも、複式簿記じゃあ分からないこと。かえってミスリードしちゃうことにもなっちゃう。

キャッシュフローだとわかるんですよ。

 

ちなみに、現在、国や自治体の会計を企業の真似して複式簿記にしよう、という方向になっています。

これはメリットもあるのですが、弊害もあります。それは「我が国や我が町の資産はこんなにある、だから借金してもいいんだ」論に陥りやすいってこと。

国や町の資産のほとんどは、実は「売れない資産」です。それをどやっ、って計上しても意味がありません。下手すると、ばんばん借金して、どんどん役に立たない箱物や道路などを作る口実になっちゃうんです。もちろん箱物や道路が全部ダメっていう話じゃありません。「効用」が大切なんです。

 

さて、ここで練習問題

無借金、内部留保10億は優良か?

 

問題。「我が社は、無借金、純資産も潤沢、なんと内部留保が10億もあるんです。どやっ」なんて会社があるとします。

これ、財務体質が良好と言えるでしょうか?

 

答え。いえません。

 

BSの右側、「資産の部」を見てみる必要があります。内部留保が10億あるとしても、現預金が100万。あとは、全て棚卸資産と固定資産だったらどうでしょう。これらの資産が、お金にしたらいくらになるか、を良く見てみないと、なんとも言えます。

 

棚卸資産が埃だらけの返品の山、固定資産も誰も買い手がつかないような土地、建物、設備だったら目も当てられません。

こういう会社、実は結構多いのです。一昔前は、それでも土地を売って、会社が精算できました。今も東京都心でしたら土地は間違いなく売れます。しか地方の会社だったら、土地の買い手でもなかなかつきません。

 

国際会計基準などで、「時価会計」ってのが進められています。つまり、帳簿価格ではなく、現在処分したらいくらか、できちんと評価しようっていう話。それは方向としては正しいのですが、大企業は別として、中小企業ではなかなか浸透していません。しかも、帳簿価格は会計屋さんが一発で計算できますが、「時価」で評価するっていうのは、なかなか難しいのです。

商品でしたら商品ごと、土地や建物でしたら不動産っていうことになりますから、それぞれ、その道のプロでないと、本当の評価はなかなかできないものですから。

 

だから「内部留保=お金がある」っていうのは全くの勘違い。内部留保にもご用心です。

 

 

まとめ

と、いうことで、複式簿記のフクちゃん、いいところもあるんです。でも、ヤバいところもある悪魔の「経典」でもある。そして税務署や銀行と付き合うためには不可欠、というやっかいなやつ。

複式簿記とは離縁はできませぬ。しかし、神棚に上げて毎日おまつりしても御利益はありません。


「勘定あって銭足らず」にならないように、キャッシュイズキングでございます。

複式簿記にはご用心。

 

というお話でした! 

 

 

複式簿記っていえば、こないだ、減価償却費は節税になんかなりません、って書きました。こちらもよくある「神話」ですので用心くださいね。 

 

ついでに。 

コミック「女騎士、経理になる」。これ、いいですね。面白くてタメになります。

画像出典 女騎士、経理になる。 - デンシバーズ