共和党大統領候補の中で人気NO1のトランプ氏が、ムスリムの米入国を全面禁止せよと主張している。
トランプ氏はムスリム判定装置でもつくるつもりだろうか。現代版の「踏み絵」みたいな。
日本赤軍のテロが流行ったのは今や昔話だが、米国で日本赤軍が活躍すると、トランプ氏は「日本人を追い出せ」と主張するのではないだろうか。先の大戦時のように。
1.英国で「(テロリストに)あんなのはモスリムじゃない」という言葉が流行ったようだ。異教徒が安易な断定をすべきではないし、ISも宗教的にはモスリムの一種と理解しておくことが妥当のようだ。
ただ、こういう言葉は、トランプ氏などモスリム排斥を主張する人たちへの、反論としては有効かもしれない。
2.しばしば誤解されるが、差別は常に非合理的(非効率的)ではなく、統計的に合理的(効率的)な差別はある。例えばある属性集団のほうが、別の集団より犯罪率が高い、ということは当然にある。だからこそ「統計的に合理的」でもやってはならない差別とは何か、その問いが重要だ。言い換えると、容認される差別とは何かという問いにもなる。たとえば学歴による初任給の差、出身校による採用の足切りは容認されるか否か、みたいな。
3.理性には合理性、効率性は必要だが、それだけが理性の構成要素であってはならない。その際に重要なのは「もし仮に立場を交換したとして、自分はその差別をすべきと主張するだろうか」という問いだ。それがNOならば、それは取るべきではない。YESの場合は、さらによく考え議論する必要がある。
4.「普遍的価値観」とは、「共有可能なはずの価値観」ともいえる。トランプ氏の価値観はモスリムとは共有できない。
5.非常時か通常時かで、差別の許容される幅は変わる。ただし非常時かどうかは、客観的に判断される必要がある。死亡統計を見れば、テロは過大評価なことは明白だ。テロリストの思うつぼだ。トランプ氏のように報道の量に「洗脳」されてはならない。