むのきらんBlog

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養子は何人まで持てますか? 正しいのはどっち?~養子や贈与など、相続の法律の落とし穴~

相続って、普段はあんまり意識しませんが、誰にでもやってくる問題です。特にシニアにとっては健康ネタや家族ネタに続く、お茶のみ話の定番。養子をしたり、あらかじめ贈与しておくといいんだとかなんとか・・・

でもね。ここに実は、ありがちな誤解があるんです。ためしに2人の相続の専門家に次の質問をしてみましょう。

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先生、養子は、何人まで持てますか?

さちこ先生:養子はお子さんがいたら1人まで、いなければ2人まで認められますよ。

 

まなぶ先生:養子は、何人でも持てますよ。まあ、だからって何百人っていうのはありえないでしょうけどね。

 

先生、あらかじめ贈与しておくと、相続の時に関係なくなるんですよね?

さちこ先生:そうなんです。だから、あらかじめ贈与しておくと、相続の時に助かりますよね。ただし、相続時に関係なくなるのは相続が起きる3年前以前の贈与の分ですから、贈与するなら早めがいいですね。

 

まなぶ先生:いいえ、関係なくなるっていうことはありません。相続争いが起きたときには、最終的に裁判所に決めてもらうことになりますが、そのときは法定相続分が基準になります。そのときに分ける対象となる「相続財産」ですが、何年前だろうが、生前に贈与したお金も「相続財産」に含めて計算するっていうことになります。

つまり、たとえば、誰かがあらかじめ1千万円もらっていたら、それも「相続財産」に含めて計算し直されるっていうことです。(専門的には、「特別受益の持戻し」って言います。)

 

さて、どちらかの先生が、正しいかわかりますか?

答えは、どちらも正しいんです。

実は、さちこ先生は、税理士さん。だから「相続税法」っていう、税金のことについて答えています。

一方、まなぶ先生は、弁護士さん。だから「民法」に則って答えています。

 

つまり、

相続税法と民法は別物

っていうことなんです。

俗に「六法」っていわれますが、法律にはいろんなのがあります

民法とか刑法とかはポピュラーですよね。これらの法律は、それぞれ関係はありますが、基本的には別物、ととらえておくといいでしょう。

 

ちなみに、トリビアですが「被告」と「被告人」っていう言葉。民法と刑法で違うんです。刑事事件で「被告人」になると、まあ99%有罪になるので大変ですが、民事事件の「被告」っていうのは、そこまでコワいことではありません。似ているようでいて、全く別物です。とはいえ、裁判で負ける可能性も当然ありますし、訴えられるのは、気持ちがいいものではありませんけどね。

 

要注意な「専門家」

実は、上の2問は、相続については、まあ基本(初級レベル)に属することなんですが、「専門家」でも意外に間違える人がいますので要注意です。

相談する側の一般の人は、「民法と税法は別」なんてこと、意識していない人がほとんどです。一方、専門家には、それぞれの専門分野があります(だから専門家!)。

「専門家」のご本人は悪気はないのですが、「自分の専門分野について問われた」という暗黙の前提で答える先生がいるんです。

 

また、上の2人の先生以外にも、相続に関係する「専門家」にはいろいろあります。たとえば、ちょっと土地を持っていたりすると「相続対策にアパートを建てませんか」みたいに相続対策を勧めてくる「専門家」たち。不動産、建設、銀行などの金融関係、FP(ファイナンシャル・プランナー)などなど。「なんとかコンサルタント」っていう肩書きの人もいます。

本来は、彼らこそ、一般の人の目線を理解して、広い視点でアドバイスすべきなんです。しかし中には結構、あやふやで一面的な知識を元にして、もっともらしいアドバイスや「提案」をする方もいるので、要注意です。

 

税法にもいろいろ

ちなみに、実は、「税法」の中にも、似て非なる、いろんなものがあります。

 

たとえば、割とポピュラーな所得税。

事業をしているときの計算の仕方と、土地や家などの不動産を売却したときの計算の仕方も、似ているようで違うんです。減価償却や必要経費っていう言葉がありますが、ここも微妙に異なる面もあるんです。もっとややこしいのは、「領収書」をめぐる、所得税や法人税と消費税の扱い。消費税のほうが、ルールが厳しいのです。だから、所得税や法人税法上OKな領収書やレシートでも、消費税法上は、NG、っていうケースもあるので要注意。

 

また、減価償却も、個人と法人では、原則が真逆です。個人は、定額法が原則ですが、法人になると定率法が原則です(例外などいろいろありますが)。

このあたりは専門的になるので、今回は深掘りしませんが、一口に税金の法律、「税法」っていっても、いろいろある、ってことも押さえましょう。(ちなみに税理士さんも、さらにそれぞれ得意分野がありますよ。会社が得意、とか、相続が得意、とかね。)

 

ついでに、「路線価」。

相続で話題になるのは、国が決めた路線価ですが、実は、地方自治体が決める路線価ってのもあります。こちらは、固定資産税の評価額を決める際に使われています。


まとめ

民法と相続税法は別もの!

「専門家」にもいろいろある!

ってことを、ちょっと覚えておくといいかもねっ。