むのきらんBlog

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自由に考えよう

新聞・書籍を軽減税率に入れるって

「政治の失敗」の典型例です。

活字文化を維持するために新聞や書籍を軽減税率の対象にするよう求める声が根強かった。>
・・・
1.軽減税率の目的が、今度は「活字文化」に化けたのだ。逆進性対策という一応の大義名分がふっとんだ。

 

2.これは、政府の支配力が「活字文化圏」に及ぶことを意味する。なので、表現の自由を主張する人たちは怒るべきだ。

 

3.本件で、軽減税率の本質が明らかになった。それは、政治家と役人が社会をコントロールする補助金なのだ。

 

4.「活字文化を維持するため」という共同通信の表現を前提とすると、コミックや写真集という「文化」は対象外ということになる。とはいえ、おそらく全て対象になると思うが、それは政治のさじ加減になる。その「さじ加減」こそが権力の醍醐味なのだ。

 

5.ちなみに、本来の意味での鋳造された「活字」は現在はほぼ使用されていない。広義の「活字」として、フォントを紙に印刷したものを呼んでいる。しかし、それを優遇するのは省資源、CO2排出削減に逆行する。フォントを使っても電子書籍、電子新聞は「活字」ではないのだ。これからどんどん軽くて薄い電子媒体が出てくるわけだが、もちろん軽減税率の対象外だ。

 

6.特定の文化を守るために補助金を出すこと自体は否定しない。
しかしそれは、当然にその業界が消費者ではなく政治家を「顧客」とすることを意味するので、慎重かつ客観的に検討されるべきだ。
真に税金を投入しても「守るべき文化」とは何かを深掘りすることが不可欠だ。本件には全くその観点がない。

 

7.たとえばだが、絶版になった出版物のコンテンツをどう「文化」として継承するか、そういうものが重要だ。TPPで著作権保護期間のみが延長されるので、事態はさらに深刻化する。秩序ある第三者複製権の新設が必要だ。

これは絶版本や著作権者が複雑化したり相続で多数化して現状ルールでは復刻困難なものなどを、第三者が復刻できるようなルールだ。著作権者に払うべき、著作権料相当分は第三者機関に積み立てる等の方法がありうる。それが公共の利益のために政治が行うルールづくりだ。

 

8.なお、<欧州では対象としている国が多い。>
・・・これは軽減税率全般に使われた論法だ。欧州のそれは「失敗例」なのだ。