よく、不動産投資や起業なんかを勧める話に、「減価償却費は節税になります!」っていうのがあります。「経費だから節税効果がありますので活用しましょう」みたいに言われますよね。
でも、これね、ちょっと、大いに、間違いなんです。
税理士さんでも間違える「減価償却費の真実」に迫ります。
(目次)
減価償却費って
たとえば、コロッケ屋さんを始めようしたタマオ君。自動コロッケ揚げ機を100万円で購入します。
これは、一台で10万円を超えるので、「減価償却資産」として、帳簿に書かないといけません。で、仮に10年で定額法の償却としたら、毎年10万円、減価償却費という経費を計上します。
コロッケの売り上げが年100万円、材料費や光熱費や人件費が70万円。とします。
儲けは30万円。そこから、10万円の減価償却費を引いた、利益は20万円。ここに税金がかかるわけ。
もしも減価償却費が認められなければ30万円に税金がかかってしまいます。
だから、「減価償却費は節税になるんです!」っていわれますよね。
これって、
ウソです!
自動コロッケ揚げ機は、タマオ君が最初に買わないといけないよね。だから、そもそも、最初の年のタマオ君の儲けは、30万円ー100万円=ー70万円。で70万円の赤字なわけ。もちろん、赤字で税金を取ってはなりませぬ。
でも、税務署はそうじゃないんです。最初の年から、減価償却費の10万円は認めてくれるけど、利益は20万円、ってことで、税金を取るんです。
これって、おかしくありませんか?
税務署の言い分
もちろん、税務署にも言い分があります。コロッケ揚げ機は10年間使えます。だから1年分のすり減り分である10万円だけ、経費として認めてあげます、ってこと。
起業する側で考えてみる
でもね。起業する側の立場で考えてごらんよ。
まず100万円払って機械を買わないと、コロッケができないから仕事ができません。その分を頑張ってコロッケを売ったお金で稼いで、元を取るのが先じゃない。100万円が借金で買ったのだとしたら、なおさらのこと。銀行にお金を返すのが先じゃないですか。
それでもって、儲かるようになってから、社会にとっての責任、ってことで税金を払うっていうのが本来ですよね。そもそも、コロッケを売らないで儲からなかったら、コロッケ揚げ機が、社会にとっても無駄ってことになるわけだから。だから、まずコロッケ揚げ機分を、社会にコロッケを売って稼ぐことが先決です。
別の切り口で考えます。
10万円未満のコロッケ揚げ機なら
1台100万円の高性能コロッケ揚げ機の代わりに、1台10万円(正確には99,999円)の小型コロッケ揚げ器を10台買ったら、どうでしょうか。
基本的には全額、買った年、つまり初年度の経費に なります。
だから、減価償却資産にして、減価償却するような設備は、なるべく買わないようにするのが、ビジネスの常識です。
だから、
減価償却費は節税になるってのはウソ。
本来最初に全額、経費として認めてもらうはずのコロッケ揚げ機代を、10年間にわたってゆっくりしか認めてもらえない、っていうことなんです。
その証拠に、また、減価償却資産にしなければならない場合でも、一般に、定額法よりも定率法のほうが人気、ですよね。
それは、定率法のほうが、先に経費として認めてもらえる分が大きいからに他なりません。定率法が選べたらそっちにするとか、なるべく早めに経費にしようとするわけです。耐用年数も、10年なのか5年なのか、どっちの資産なのか、というときは、短い方にしたくなるわけ。
だから、減価償却費のルールは、「節税の逆」なんです。
じゃあ、
なぜ勘違いするのか
っていうと、たとえば、家を建てると、その建築費は経費として認められません。(ローン控除などの優遇策はありますが)。
で、アパートを建てると、アパートの建設費は、減価償却の対象になるからなんです。
でも、考えて見ると、これは節税でもなんでもないわけ。
だって、自分が住む家は、自分が住むっていう効用がある。アパートは自分が住むんじゃないから、他人に貸すっていう「事業」のためのもの。そこに費やしたお金は、本来はすぐに全額経費として認められるべきですよね。
だから、スタートラインに大きな勘違いがあるわけなんです。
じゃあ「土地」はどうかって?
事業のために土地を買っても、減価償却費は一切認められません。税務署の言い分は、土地はすり減らないから(いつまででも価値が減らないから)ですって。
おかしいよねっ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
むのきらんがまた変なこと言ってる、って思うかもしれません。
でもこれ、「キャッシュフロー経営」っていう立派な商売の王道的なものの見方なんですよ。
税務署や税理士さんや業者の言い分を鵜呑みにしちゃだめですよぅ!
節税でもなんでもないんですから!
ただ、今はそういうルールになってる、ってだけなんですよっ!
「減価償却ができるので節税になる」みたいな言葉を見かけたら、ちょっと待てよって、いったん立ち止まって考えたほうが吉ってことですっ。