頭の体操。「国家」を商店にたとえて、相対的に考えてみたい。
日本屋も、韓国亭も、中国飯店も、北朝鮮店などなど、これらは一つの「国家商店街」の中で軒を連ねていて、その中でそれぞれ顧客を囲い込み、競争しています。商店街には暗黙の掟があり、今ある商店はつぶさない、新規参入はさせない、ということになっています。
そう整理していくと、今どき「おらが国家を建てよう」というIS(「イスラム国」)は、国家商店街の中の新参者です。既存の商店街の地割を無視して、「ここおれの店」と叫ぶので、商店会から排除されているわけですね。アルカイダは、いわばネットショップであり、ISはネットショップから分かれて、やっぱり実店舗(国家)を国家商店街の中に構えよう、としているわけ。
★★★
ところで「国家商店」は、国家が軒を連ねる「商店街」の中で仲良くケンカしたい。「国家商店街? へ?」というような、スーパーマーケットやネットショップが流行っては「国家商店街」自体の存立が危うくなるのです。
今の世界は、「国家主義商店街」に対して、グローバリズムと地域主義(国家より小さい単位の地域です)が業態間でも戦っている時代、業態間競争の時代です。
「国家屋さん」としては、グローバル化や分権などの他の業態、いわばカテゴリーキラーが跳梁跋扈するのが面白くない。これは、右でも左でも同じです。日本屋も、韓国亭も、中国飯店も、北朝鮮店も「国家」が大好き。
そこで、「国家ブランドの宣伝をしよう」ということになる。「国」と「国家」を同一化させることが、ブランド力の強化には有効。
なので、「建国記念の日」や道徳教育で「建国をしのび、国を愛する心を養う。」みたいに「国を愛する心」を養いたくなっちゃう。(「国家」を愛する心、とやっちゃいたいところでしょうが)
昔ながらの商店が軒を連ねる商店街に郷愁を感じる人もいるので、そういう方々には、これが刺さる。とりわけ、少し自信を付けたり、逆にちょっと落ち目になったりすると、「おらが商店の旗」を景気づけに振りたくなるわけです。
国家は新参者を嫌う、というお話でした。
(誤解のないように申し添えると、ISを肯定しているわけではありません。)