三菱とスズキの燃費不正問題について、2点追加します。
(目次)
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スズキがなぜ違法な測定を続けたか
本日付け日経の報道から引用。(2016/6/3)「規範意識の低さ浮き彫り スズキ燃費不正、確認体制も機能せず 」より。
同社が道路運送車両法に基づかない燃費の測定方法を始めたのは2010年。同年、小型車「スイフト」でタイヤやブレーキなどの各部品の走行抵抗値を測定して積み上げる方法で欧州の認証が通ったため、5つある開発部門「カーライン」の1つが国内向けの同車種でも採用し始めたという。
欧州は、もともと「惰行法」を採っていて、日本もそのルール。だけど欧州は時代に合わせて柔軟に運用していた。日本はルールを見直さなかった、ということ。
つまり、国交省と自動車メーカーのコミュニケーションが足りなかった、ということでしょう。もっと早くルールが見直されていれば、三菱の「偽装」は別として、両社の「不正」は起きなかったわけです。
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試験の方法は2段階
国分寺さんという方から、次の疑問を頂いたので、ちょっと補足しますね。
だれもが疑問に思うところなので。国分寺さん ありがとうございます!
本来なら国交省の天下り機関が試験することになってるんだから、 仮にそこが少し変な基準で検査したとしても、全車種一律であればさほど問題にならないですし、 そもそもメーカーが矢面に立つ話にすらならないんですよね。 ルール通りちゃんとやれということでw
そこ、わかりにくいとこですよね。ちょっとしくみが違うんです。 国の機関が一律で試験するのは、「台上試験」。シャシダイナモっていうローラーに室内で乗ってやるの。スポーツクラブのランニングマシーンのお化けみたいなやつ。下の画像です。
画像は、独立行政法人 自動車技術総合機構 交通安全環境研究所の
シャシダイナモってこれ。クルマががんばって走ると、ローラーが回る。なお、クルマの前にあるのは、ファンです。これは問題の空気抵抗とは関係なくて、エンジンを冷やしているだけ。
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メーカーは走行抵抗値を提出する
で、各メーカーが、国交省のルールで独自に測定して提出するのは、車種別の「走行抵抗値」ってやつ。クルマの形や大きさなどによって異なるわけなので。 それを、ローラーに入力するの。いわば、ローラーを空気抵抗などの分、重くしてあげるわけ。
で、今回スズキと三菱が、国交省ルールでない方法で長年やってたのは、その走行抵抗値の算出方法。 なので、抜き打ち立ち会い検査みたいな話しは別とすれば、国の機関は、自らの仕事をルール通りやっていた、ということなのです。メーカーの提出値をせっせと鵜呑みしていただけで。
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国交省はなぜお怒りか
だから、国交省は「日本のメーカーは国交省のいうとおりやってると信じてたのに、けしからんっ。不届きである。」とお怒りを表現しているわけです。
国交省の監督・監査不行き届き、とのありがちな批判をかわすためでもあるわけです。
もちろん、走行抵抗の測定も含めて、国の機関で全て検査するっていう方法もあります。それは世界のスタンダードでないわけ。なので、日本がそうしても、余り意味はないでしょうね。
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