むのきらんBlog

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もったいない善意~60万円の宝くじを寄付することはモッタイナイ~

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「豪雨災害の被災者のために60万円を寄付したい」と思った時、どうするのがいいだろうか。

 

この女性の「善意」は素晴らしいが、とった「方法」は、極めてモッタイナイことになった。

60万円で宝くじを買い、それを騒動のあげく、市に寄付。市が調べると、賞金は12万円だった、とのこと。 

 

「宝くじ2000枚の落とし物 持ち主は届け出た女性」

 NHKニュースより失礼して全文引用。 

去年12月、栃木県の栃木市役所に「豪雨災害の被災者のためにお使いください」という手紙とともに届けられた2000枚の宝くじは、「駐車場で拾った」と届けた女性が実際には購入したものだったことが分かりました。この女性は1日、改めて宝くじを市に寄付しました。
これは去年12月28日、栃木市役所に60代の女性が「隣の駐車場のエレベーターの中で拾った」と紙袋を届けたもので、袋の中には、年末ジャンボ宝くじ2000枚、60万円相当が入っていました。また、袋の中には「宝くじが当たったら豪雨災害の被災者のためにお使いください」という栃木市長などに宛てた手紙も入っていて、市は警察に落とし物として届けました。
警察によりますと、この袋を届けた女性が先月下旬、「宝くじを拾ったふりをして市に届けた」と名乗り出たため手紙の筆跡などを調べた結果、女性のものだと確認できたということで、警察は1日朝、宝くじを女性に返しました。
女性は、持ち主が見つからなかった場合、宝くじは県に渡され市には届かないと知り、名乗り出たということです。女性は1日、改めて宝くじを栃木市に寄付しました。
寄付を受け市が確認したところ、5等の3000円と6等の300円が合わせて220本当たっていて、当せん金は合わせて12万円に上るということです。栃木市の鈴木俊美市長は記者会見で、「女性は気恥ずかしくて拾ったことにしたと聞いている。贈ってくださった方の思いや夢と一緒に、関東・東北豪雨で被災した市民や農家に届けたい」と話しています。

 

もちろん、わざわざ宝くじを買うのではなく、現金で60万円を市に寄付するのが一番役に立つ。

 

さて、今回の賞金12万円分の「効果」なのだが、コストが問題だ。

関係者の手間、つまりコストはその数倍かかっているだろう。

 

イレギュラーなことが発生すると、行政の職員はその処理にとても手間がかかるのだ。宝くじをどう寄付として受け入れるかの検討、クジを全て調べて当選金額を計算する手間、クジを換金しきちんと入金処理する手間。市長に報告し、外部に発表する手間、などなど、である。

市の職員の1時間の業務にかかるコストは、計算のしかたにもよるが、おおむね5千円から1万円以上。今回の処理には、市長まで巻き込んだ話しなので、平均で一人1時間1万円近くはかかるだろう。組織の関係者が打ち合せなどして、対応を考えるわけだ。

それは全て税金で賄っているのだ。12万円分の寄付は、残念ながらコストを計算すると赤字だろう。

 

この方は、おそらく、いい人なのだろうし、少し孤独な方だったのではないか、とも思う。できれば、ほんの少し、お金についての基礎知識があるとよかったな、と思います。

 

なお、宝くじ自体の売上の4割は地方自治体に入り、公共のために使われるので賞金の12万円とは別に、24万円を公共に寄付したことになる、という面はある。今回の使い方の中では、そっちのほうが、賞金12万円よりは有効だった、ということですね(もちろん、豪雨災害の被災者支援に使われるとは限りませんが)。