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ヒラリー・クリントンは「女性の代弁者」ではなく「包摂」を掲げよ~初の女性大統領の意味とは~

人気ブロガーの広瀬隆雄氏が、「ヒラリー・クリントンは初の女性大統領候補としての矜持が希薄すぎる! 逃げたり隠れたりせず、女性の声を代弁すべき」と主張しています。

いいところをついているんですが「女性の声を代弁すべき」はちょっと違う。

ヒラリーは何を掲げるべきでしょうか。

ヒラリーには「包摂」(Subsumption)を掲げて戦ってほしい。それこそが初の女性大統領となる本当の意味です。

(目次)

 

blogos.com

より、引用(太字筆者)

クリントンが民主党の指名確保確実となったことで、「初の女性大統領誕生か?」ということが今回の大統領選挙の争点として、改めて注目され始めています。

これは、かなり重要なポイントです。

ちなみに8年前の大統領選挙予備選挙では、クリントン候補は女性票の51%しか獲得できず、バラク・オバマに民主党指名候補を譲りました。従って11月の本選挙では「初の女性大統領誕生か?」ということは争点にはなりませんでした。

今回、クリントン候補は女性票の6割以上を獲得しており、「女であることを前面に出す」作戦を展開しています。

共和党のトランプ候補は、あからさまに女性蔑視の傾向が見られる大統領候補なので、クリントン候補は、このトランプ候補の弱点を徹底的に突いた選挙戦を戦うべきです。その点、2008年の大統領選挙では、「初の女性大統領」という点をわざとぼかした選挙戦を戦い、クリントン候補の「ガッツの無さ」を嘆く声がありました。

 (中略)

しかしヒラリーはその野心と、社会が女性に対して期待する役回りの間で、常に葛藤します。

(中略)

有能で極めて実務遂行能力に長けている反面、個人的な問題になると、つねにガードが固く、守勢に回る傾向があります。つまり肝心な局面で胸襟を開かず、するりと逃げてしまう性格なのです。

ヒラリー・クリントンが11月の本選挙で勝つためには、「今回の大統領選挙は、初の女性大統領をアメリカが望むのか? 望まないのか」に関するレファレンダムだという点を前面に押し出すことが必要になると思います。

この事実にヒラリー・クリントン自身がきちんと向き合うことが出来れば、ドナルド・トランプ候補など敵ではないと思います。

 

広瀬氏のエントリーは、よくまとまっています。

 

  • トランプなら世界は「三国時代」に

私は、ヒラリー・クリントンの政策主張には問題があり、ベストの候補とは思いません。大統領選に入って、反TPPなど、大衆に迎合するポピュリズム的な主張が増えています。(できれば、出馬しなかったブルームバーグ元NY市長のほうが望ましいと考えています。)

しかし、ヒラリー対トランプならば、議論の余地なくヒラリーが好ましい。

 

トランプ氏は、米国が世界最大の超大国であることの正当性である「普遍主義」を否定し、米国の表面的、短期的利益のみ追う立場だからです。言い換えると、トランプ大統領がもしも実現したらば、米国は中国やロシアと同じ次元の一国になってしまう、ということ。

古代中国に「三国時代」というのがありました。「トランプ大統領」では、力対力がぶつかり権謀術数が渦巻く「三国時代」に世界は突入するでしょう。しかも「トランプ大統領」が何を実行するか、全く不明です。経済面では金融緩和、公共投資、大減税で巨大なバブルを作る方向と思いますが、外交面では不確実性が極めて高い状況です。

 

  • ヒラリー対トランプのオッズ

英国の大手ブックメーカー(賭け仲介)によるとヒラリー対トランプのオッズ(賭け率)は、ヒラリー1.33、トランプ3.50です。

2016年アメリカ合衆国大統領選挙 ベッティング オッズ | アメリカ合衆国の政治 政治 | William Hill

 

ちなみに1か月前の5月9日時点では、ヒラリー・クリントン3.25、ドナルド・トランプ29.00、バーニー・サンダース67.00でした。

アメリカは「巨大なリスク源」に~トランプ大統領のオッズが急上昇~ - むのきらんBlog

わずか1か月で、ヒラリー氏の対するトランプ氏のオッズは、8.9倍から2.6倍に急上昇したわけです。(オッズの倍率が下がるということは、トランプ大統領の確率が上がるということです。)

ヒラリー対トランプの支持率は一時はトランプ有利という世論調査まで出る状況だからです。

 

私は、5月9日と同じ、トランプ氏の勝率を40%(つまりヒラリー60%)と見ています。40%は巨大なリスクです。

したがって、ヒラリーに勝ってもらいたい。その点で、広瀬氏の主張はうなずけます。

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 画像は、ヒラリー・クリントン - Wikipediaより(2009年なのでちょっと若いときですね)

  • 「女性の声を代弁すべき」はちょっと違う

ただし、広瀬氏のタイトルの「女性の声を代弁すべき」はちょっと違う。

これではトランプ氏と同じ次元です。トランプ氏が、白人の低所得層の声を代弁しているとしたら、ヒラリーは女性の声を代弁する、というようなことになります。

そうであってはいけません。

 

トランプ氏は「悪いのはあいつらだ」という敵をつくる、憎しみを煽る作戦です。

トランプ氏が攻撃するのは、ウォール街、ワシントン、外国人、イスラム教徒、日本、などです。

それに対してヒラリーは、女性を代弁して男性を攻撃してはいけません。

 

「女性の声を代弁する」とは、日本でも女性の政治家が言う言葉です。そう言いたくなる気持ちもわかります。しかし、これには注意が必要です。

民主主義が賢明に機能するためには、政治家は全体の奉仕者でなければならず、特定の誰かの声の代弁者であってはなりません。いわば、「みんなの代弁者」でなくてはなりません。それこそが、リベラリズムや普遍主義の重要な点です。

 

  • キーワードは包摂

「包摂」(Subsumption)という言葉があります。包み込む、ということ。誰かを敵としたり、誰かを疎外して追い出したり、ということではなく、みんなを社会のかけがえのない一員として、敬意を持って遇しましょう、ということ。
ヒラリーは分断や対立ではなく、和解と相互尊重、そして創造を訴えるべきです。米国の知恵を結集して、あらたな未来を拓こう、と訴えるべきです。


それは「女性の声」ではなく、全てのマイノリティの声であり、またマジョリティをも利する(包摂する)ということ。
これこそが、本来の民主党、リベラリズムが拠って立つべき、普遍的価値観です。そこにおいて、サンダース氏のような「社会民主主義者」の主張とも共鳴しあうのです。(具体的政策については、サンダースの政策は、かえって米国を貧乏にするだけですが。)

 

 

  • オバマの後継者としてのヒラリー

包摂という概念は、オバマ氏が大統領選を戦った際のYes,we canとも響く言葉です。オバマ氏は具体的な外交政策、特に軍事については問題がありましたが、彼の理念は、普遍的な意味を持つものでした。だからこそ一回目の大統領選の時に、ダークホースとして出発し、若者などの熱狂的な支持を得て当選しました。彼の理想は、日本にも期待感をもたらしました。

 

オバマ氏は、「黒人の声」を代弁したでしょうか。違います。彼は融和を訴えたのです。黒人白人という二項対立ではなく、一段高い理念を示したのです。だから幅広い支持を得ました。

ヒラリー・クリントンは、オバマ氏の、そして米国が本来持つ普遍主義という正義の理念を引き継ぎ、それを現実論として実現する政治家であってほしい。

それこそが、ヒラリー氏が大統領になる、勝利の、そして正しい筋道であり、大統領としての役割なのです。

 (ヒラリー・クリントン陣営はそこのところが分かっていると思うのですが・・・)

 

3人のサイトはこちら 

クリントン陣営のサイト

トランプ陣営のサイト

サンダース陣営のサイト

 

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