むのきらんBlog

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自由に考えよう

「軽減税率は金持ち優遇」説の見分け方

<「軽減税率は金持ち優遇」というのはさすがにつじつまが合わないと考えざる得ない。>

・・・こういうのは、よくある勘違い。

軽減税率は補助金と同じだ。経済学上は、「租税支出」という概念。 そうすると有効性を全く違う見方から検証できる。1兆円の補助金を撒くとき、どれだけが「低所得者」にいき、どれだけが「中高所得者」にいくかを考えれば明らか。後者のほうが圧倒的に多額だ。 だからこの「租税支出」政策は非常に効率が悪い。生活保護の不正受給よりはるかに。

 

<消費税が上がっていく中、一部の人にのみ手厚く現金給付を行なう事がどれだけ世論の支持を得られるかという点である。>

・・・その問題はある。しかし世論のその発想こそがおかしい。消費税の利点は誰もが薄く負担する、ということ。多数がタックスペイヤーになるということ。それなくしてこれからの社会は支えきれない。 一部の人への現金給付は目立つ。不正もまた目立ちやすい。だからこそ的を絞った現金給付のほうが筋が良いのだ。(あまりに的を細かく絞りすぎて、あれもこれもと細分化した政策はダメですが。)

 

●軽減対象に外食も含める案も

なお、対象に外食も含めるとの報道について別エントリーへのコメントを再掲させていただく。 公明党要求の加工食品に、外食を含めるという逆提案とは官邸に脱帽。 これで軽減税率騒動の主導権は移った。自民は参院選に勝利する。 加工食品までではなく外食も対象にすることは合理的だ。 テイクアウト、セルフサービス、出前などの線引きが不要になる。 景気でも、引きこもりを促進する「外食対象外」よりは外食も対象にしたほうがよい。 この上はアルコールも対象にすべきだ。そもそも酒税があり二重課税。「飲み食べ放題パック」など、線引きが難しいものもある。 そうすると今度は旅館の宿泊料やパッケージツアー等の問題は出る。 なので軽減税率は筋悪であることは大前提だ。

 

●外食は対象外になっちゃった

自公協議がとりあえず決着し、外食は軽減税率の対象外になったようです。 そして私の観測に誤りがあったようです。 「いっそのこと外食も含めるように」としたのは、官邸主導だと思ったのですが、その後の報道では、加工品を含めるのは官邸(菅官房長官)、それなら外食も含めるべきとしたのは自民党サイド。それが引っ込んだので「官邸のすご腕」というのは私の買いかぶりでした。

 

2015年12月12日日経<待ったをかけたのが自民党税制調査会の宮沢洋一会長や野田毅最高顧問。加工食品と外食の区別が難しいと唱えはじめたのだ。><「外食も含めた方がいいのかなあ」。谷垣氏は周囲にこう漏らし、税調幹部らの意向を踏まえて11日の協議に臨んだ。>とのこと。

 

●外食は「高級」なのか

公明党が反対しこの案はなかったことになりました。理由の一つは<高級なレストランや料理店での食事に適用されると「金持ち優遇」批判が高まると懸念>

 

本件は、宮沢、野田氏の主張が正解でしょう。軽減税率は筋悪ですが、どうせやるならば、経済への悪影響が少なく、なるべく明解な線を引けるところにすべき。

 

また高級料理店云々はナンセンスです。食品でも「高級」なものはいくらでもあります。これは、吉野屋の牛丼は対象外だが、松阪牛は軽減するよ、ということ。(松阪牛を批判しているのではありません。誤解のないよう。キャビアでもなんでも結構です。)

 

本来は消費者がバカにするなと怒るべきなのはもちろんですが、働いている側も怒るべきです。 外食産業に従事している方々も怒るべき。コンビニや中食に押されているところに、国がもう一押しするわけですから。飲食サービス業の仕事への冒涜といってもいいでしょう。 もちろん他産業、たとえばトイレットペーパーの方も怒る正当性があります。対象外ですので。