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なぜ衆参同時選にならなかったのか~政治の本質を見失った失敗~

予測が外れました。

先日、私は、BLOGOSのコメントでこう予測しました。(コメント本文は下に掲載します。)

私は、首相は、「舛添氏退陣、消費増税凍結、衆参同一選」の3点セットで来ると読んだよっ。確率は70%。

 

で、どうだったか。報道ではどうやら「舛添氏は退陣せず、消費増税凍結、衆参同時選はなし」となるようだ。(舛添氏については、今後の推移でまだわからないが。)

 

(目次)

 

  • どうして衆参同時選にならないのか

では、どうして衆参同時選にならないのか、について。

 

「強い首相」を目指す安部首相としては、「同時選に勝って、政治的資源をマックスにチャージ」という方向性が一つあっただろう。私はそれで同時選と予測した。

 

しかし、同時選にならなかった。それには4つの要因が強く働いた、とみる。

 

  • 野党の統一候補

参院選の全て一人区で野党の統一候補が立つことになった。つまり今回改選の選挙区選挙73議席(それ以外に比例が48で改選は全121議席。)の内、32の一人区全てで事実上の一騎打ちとなるわけ。もともと、自民党の支持率は40%程度だ。つまり、野党が束になると、自民党は勝てない。さらに、自民党批判層が野党統一候補には、投票しやすい。野党にはそれぞれ不満があっても、まあ反自民、非自民ということで、投票する、という効果がある。

 

第24回参議院議員通常選挙 - Wikipedia

 

  • 投票率

自民党が勝つには、投票率が低いほうが有利だ。支持政党なしの浮動票が、選挙なんて行かなくても同じ、と思ってくれると、各地各種の業界団体など強い利害関係者・既得権者の組織票を持つ自民党は強い。

しかも、首相がどや顔で解散したら、浮動票には、お灸を据えてやれ、という意識も働くだろう。なので、支持政党なしの層が、投票にいかないほうが自民党に有利だ。

 

ちなみに衆参同時選は、過去二回ある。1980年と1986年だ。いずれも、高い投票率となっている。

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総務省|国政選挙における投票率の推移より

 

  • 支持率の回復

サミットとオバマ氏の広島訪問で、安倍内閣の支持率は上昇した。つまり、同時選と大きく振りかぶらなくても、静かに選挙をすれば、自民党は勝つ。

もちろん、支持率が高い時に同時選にすれば、両方で勝てる可能性もある。だが、衆院では既に絶対多数。自民党にとって参議院のほうが問題なのだ。それらの状況が、過去2回の同時選とは異なる。 

 

おそらく首相の手元には、同時選とした場合、しなかった場合についての、綿密な星取り表があるのだろう。その結果、しなかった場合のほうが参院選で勝てる、と出たので、同時選にしなかった、ということだろう。

 

つまりは、安部首相は、より手堅い打ち手を選択した、ということ。

 

  • 「解散カード」の温存

しかも、「衆議院を解散しない」ということは、裏返せばいつでも解散できる。ということにもなる。それは、自民党内に対する首相のカードであるわけ。公認権は総裁にあるので。そのカードは、衆院の任期が切れる、2018年12月まで温存される。それまでに、いつでもカードを使うことができる。

 

今、その「解散カード」を使い、投票率が上がるリスクを取って衆参同日選で勝って、さらに政権を盤石なものとするよりは、手堅く参院選で勝って、解散カードを温存する、というほうを首相は取った、ということだろう。

 

  • 予測が外れた最大の原因

最大の原因は、マスコミが伝える「首相の同時選への動き」を、鵜呑みにしたこと。結果論だが、それは間違いだったわけ。やはりここは、同時選か単独か、どちらが参院選に有利か、という一点で読むべきでした。それが今回の本質であり、他の要素はそれへの変数に過ぎなかったということでしょう。

 

以上、私の敗因分析でした(^^ゞ

 

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(はやさかゆきさん 足成より)

 

甘い物でも食べて出直そうっ

 

 

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2016年05月21日のBLOGOSコメント本文。

 

首相官邸は考えているだろう。 参院選を。衆参同時選にするのがいいか、さらに都知事選も加えるか。 都知事選をするならば、誰を担げばいいのか。 それは、日々上下する首相の政治的資産の多寡による。

 

 沖縄での殺人事件を、NHKなどは連日トップニュースなど、大きく伝えている。 たかだか、年間400人の殺人の内の、単なる一猟奇事件に過ぎないのにもかかわらずだ。 50人ほどが亡くなった熊本地震はもはや鮮度が低くなり、大衆は次の刺激を求めているのだ。 (壊れたお墓や散逸したお骨をどうする、といった「深刻な題材」を取り上げているが、沖縄のほうが刺激が強い。) 世論の移ろいやすいさ、政治の怖さはここにある。

 

7月の参院選まであと1か月。まだまだ何が起きるかわからない。 サミットにからんで、テロが起きるかもしれない。それは政権にとってどう働くのかもわからない。 とはいえ、首相が決断する期限はあとわずか。サミットとオバマ氏の広島訪問が終る頃、つまり今月中には腹を決めて走り出すことになるのではないか。

 

私は、首相は、「舛添氏退陣、消費増税凍結、衆参同一選」の3点セットで来ると読んだよっ。確率は70%。 つまり政治の主導権を取る、ということ。プロファイリング的にいえば、「強いリーダーシップとはこういうことだ」という自意識。そこにおいて政治的に勝利し、足もとがぐらついている米国や欧州などのリーダーたちに対してより優位な位置を占めるのが日本の国益だ、と考えてるんじゃないかな。 舛添氏は所詮、消去法で選んだコマに過ぎない。(代わりのコマをどうするか、どうキレイに退陣させるかはあるけども、ダメコン、コラテラルダメージというやつです。)

 

さて、どうなりますことやら。 なお、舛添氏の進退は、もちろん首相の一存で決まるものではありません。それは言わずもながですが、念のため。

 

おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

都民への理解を諦め、都議会に媚び、残り2年の任期にしがみついた舛添知事の挽歌

 

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